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部屋に入った瞬間、待ち構えていたかのようにクリフトに声をかけられた。
「ソロさん、はい、あーん。」
反射的に開いた口に、何かが押し込まれる。もごもごと口を動かすと、チョコレートの甘さが口内を満たした。目線をずらすと左手の皿には手作りと思わしきチョコレートケーキ。いつの間に作ったのだろうか。それにしてから美味しい。飲み込んで口を開くと、喋る隙も与えられないまま次の一口が押し込まれる。気分はさながら給餌される雛だ。
「ところでソロさん」
「何だよ」
「間違ってもチョコレートプレイなんて頭の悪そうな提案、しないでくださいね?」
柔らかい笑顔と対照的な確固たる意志を含んだ口調。普段なら到底やりそうにない「はい、あーん」なんて行為を恥ずかしげもなくやってのけたのは会話の主導権を奪うためだったらしい。恐らくポケットに無造作に突っ込まれたチョコレートの存在も知られているのだろう。ダメだ、完全に読まれている。

(130214)



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