小説 | ナノ





【シグクル】
「クルーク、だいじょうぶ?」肩で息をするシグは学校から走ってきたらしい。あの、虫にしか興味がないような彼が。「はやく、よくなって」「言われなくたってそうするさ」毎日来られちゃ堪らないからね、と呟いたクルークの頬がうっすらと赤いのは風邪のせいなのか、それとも。

【アルシェ】
「美味しいね」と言うと「当たり前だろ」とどこか嬉しそうに返される。「うん、毎日食べたいぐらい。シェゾが欲しいな。」にっこりと微笑むと、派手な音を立てて調理器具が床に落ちた。耳まで真っ赤だ。人に散々言っておきながら、自分が言われるのには慣れていないらしい。

【レムクル】
緊急事態だったとは言え、流石に砂糖単体はよくなかった。そう思って焼いたクッキーは初めてにしてはまあまあ上手くできた気がする。僕の手まで食べそうな勢いで完食して情けない顔でありがとうと微笑むレムレスは、「ちょっと粉っぽいけどね。」の一言さえなければ完璧なのに。

【シグシェ】
煩くしないならいいとは言ったものの、何も虫のいない洞窟に好き好んでいるような奴ではない。ただ俺の肩に凭れて座っているだけの相手に「虫採ってる方が楽しいだろ、」と問うと、間髪入れずに「シェゾがいればたのしい」と一言。ああもう、聞いたこっちが恥ずかしいだろうが!

【レムシェ】
口をつけて数秒、眉を顰めて「甘すぎる」と差し出されたマグカップには、ホットチョコレートがなみなみと注がれていた。受け取らないのを訝しんだ彼が「何だよ、甘いの好きだろ」と首を傾げるのに「…いや、何でもないよ」と返して口をつける。一口飲んだそれは、成程、確かに甘い。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -