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カチャリとドアノブが回され、部屋に廊下の照明の光が差し込んでくる。パタパタとスリッパが床に打ちつけられた後、ギシリとベッドのスプリングが軋む。そこで漸くクリフトはうっすらと目を開けた。月が丁度雲に隠れて、部屋は真っ暗な状態で何も見えない。
不意に、体の上にずしりと重みを感じる。どうやら誰かが自分の上に跨っているらしいことが分かり、クリフトは体を硬直させた。雲が過ぎ去って、再び部屋に月明かりが差し込んでくる。浮かび上がった顔は、あまりにも見慣れた顔だった。

「…ひめ、さま……?」
馬乗りになって、何故かクリフトの服に手をかけているのは、主君であるサントハイム王国の姫、アリーナその人だった。

「何をしてるんです…?」
「えっと…何だっけ、マーニャが教えてくれたんだけど…」
うーん、と声を漏らしながら人差し指を顎にあてて首を傾げる様子はとても可愛らしいのだけど。マーニャが教えた、という時点で嫌な予感しかしない。

「えーっとね……そうだ!」
暫くして、思い出したらしくパッと顔を輝かせて手を打つ。


「夜這いに来たの!」
花が咲くような笑顔で言われて、クリフトは思わず噎せた。ゲホゴホと咳き込むクリフトを見てアリーナが「あれ?」と首を傾げる。

「…私、何か間違えた?」
「恐らく間違ってしかいません、姫様…。」

脳裏にニヤニヤとチェシャ猫のような笑みを浮かべながらアリーナに間違った知識を植え付けるマーニャの様子が浮かぶ。全くあの人は…!とクリフトは心中で舌打ちをした。恐らく「親しい人と一緒に寝ること」とでも教えたのだろう。これは、一度正しい知識を教え直す必要がある。相手が自分だったからよかったものの、他の人に使われては大変だ。
クリフトは溜息を吐いてから体を起こし、アリーナを脚に乗せたまま言葉を紡ぎ始めた。

「姫様、夜這いというのはですね…」







ひとしきり意味を説明した後、「どうか、他の人の前で、そんな言葉を使わないで下さいね」と言おうと口を開きかけると、アリーナが先に口を開いた。

「なんだ、じゃあ間違ってないわ。」
「……は?」
納得したようなアリーナの発言に一瞬頭がついていかず、呆けたような声が出る。その意味を理解した頃には、クリフトはベッドに押し倒されていた。にぃ、とアリーナの口元に弧が描かれる。クリフトの背を冷たい汗が伝った。


「だって私、クリフトを襲いに来たんだもの。」
そう言ってまるで天使のようににっこりと笑った後、アリーナは再びクリフトの服に手をかける。プツンとボタンを外す音が部屋に響いた。


不純交遊といきましょう


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女の子攻めって!(パン!)いいよね!(パン!)
(110720)



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