小説 | ナノ





※ソロさんがクリフトさんの足舐めたりしてます。

「ソロさん、お風呂空きましたよ。」

宿のドアが軽い音を立てて開き、クリフトが入ってくる。風呂上がりのためか、丈の長いシャツにハーフパンツというかなりラフな格好だった。
ふと、何か視界の下の方に赤いものが映り込んだ気がした。目の前で髪を拭いているクリフトの足下に目をやると、ふくらはぎがスッパリと綺麗に切れている。つ、と血が足を伝った。

「お前、足、血出てんじゃねーか!」
「ああ…昼間の戦闘で受けた傷がお風呂で開いちゃったんですねえ。…動脈だったんですかね?」
「んなこと知るか!ホイミかけてやっから、ベッド座れ!」
「こんなの、大したことありませんよ。それこそ、ソロさんの言葉を借りれば、『唾でもつけときゃ治る』程のものです。」

日頃俺らが戦闘で怪我をしようものならかすり傷であろうと十分すぎるくらいの回復をするのに、自分のこととなると血をだらだら流しながらケロッとした顔で「おや、気づきませんでした」とのたまったりする。人のことはやたらと構う癖して自分を蔑ろにし過ぎるのはクリフトの悪い癖である。これはリーダーとして教えてやらねばなるまい。

「…じゃあ、治さねーとな。」
「へ?」

風呂上がりだし、恐らくは清潔だろう、うん。勝手に結論付けて床に跪く。右足を手に取ると、コトリと首が傾げられた。どうやら何をされるのか全く理解していないらしい。まあ、別にいいのだけど。
躊躇いなく足の甲に舌を這わせると、ビクリと体が跳ね上がった。

「ん…っう、ぁ……ソ、ロさん…っ!」

弱々しい声には明らかに戸惑いが浮かんでいる。

「何?」
「き、汚いですよ!そんな、足なんて!」
「風呂上がりだし、大丈夫だろ。それに、『唾でもつけときゃ治る』んだろ?」
「ですが、……ひっ、ぅ」

言い終わらないうちに再び舌を這わせれば言葉が途切れる。敏感なんだろうか。くすぐりとか効きそうだ。ビクビクと体を震わせながら手の甲を口元に押し当てて声を抑えている。半分涙目だ。そんなに効くもんなのか、これ。

幼い子どもがするようにいやいやと頭を振るクリフトに何となく悪戯心が湧いてくる。普段にこにこ笑っている顔が殆どのせいか、かなり新鮮だ。爪先の方へと舌を滑らせ、指の付け根をなぞってみると、大仰に肩が揺れた。

「ふぁ……ぅ、ん、やっ…!やめ、てくださ…っ、ひぁっ!」

………何か、エロい。同性のヤツに使う言葉じゃないけど。これでクリフトが女の子だったら確実に襲ってるところだ。涙で潤んでる目で弱々しくそんなこと言われたら……なあ?
もともと体毛が薄いのと色が白いのが相まって、下手したらその辺の女の子たちより肌は綺麗かもしれない。

「んっ……も、ムリです…っ!」

フルフルと体を小刻みに震わせていたクリフトが突然体を仰け反らせ、息を吸い込んだ。







「っく、あははははは……!くすぐったいですってソロさん…!」
「うるせー。自分で言ったんだから大人しく舐められてろ。」
「ちょ、やっ、あははははは…!」

爆笑しているクリフトを余所にふくらはぎの方に舌を移動させる。反応が面白いから、とついつい遊んでしまったが、本来の目的は『怪我の治療』だ。悪戯しているうちに血はすっかり止まってしまっていた。固まった血を舐め取ると、口の中に鉄の味が広がる。それを見たクリフトが一瞬咎めるように眉に皺を寄せた。

「あ、その唾、っく、絶対飲んじゃ…ふふっ、だめですよ!雑菌が入ってて汚いんですから、ひゃっ…あははは!」
「そんな息も絶え絶えに言われても説得力ないっつの。」
「誰のせいで息が切れてると思ってるんです……ん、あっ!とにかく…んっ、絶対、っくく、だめですから…!ひっ、あはははは!」
「はいはい、わーったよ。これに懲りたら、ちゃんと自分も回復しろよな。」
「は、い…。」

返事を聞き届けてから舌を離すと、クリフトは痙攣しながらベッドにくたりと倒れ込んだ。浅い呼吸を繰り返す様子を後目に備え付けの洗面台で口を濯ぐ。水とともに吐き出した唾液には赤色が混じっていた。


これはあくまでも治療なのだと言い張ります。

*****
この後クリフトはお風呂に入り直すハメになります。
知ってるか、コイツら付き合ってない設定なんだぜ…?
(110517)



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