The die is cast
「あ……」
特別教室に移動する途中、視界に桜架のクラスが入った。
……どうしとるやろ。
彼女と会わんくなって既に2週間。
ええ加減退屈な毎日に飽き飽きしてきた。
声くらい掛けて行こうか。
そう思ってふらりと彼女の教室を覗いた瞬間、俺は自分の目を疑った。
「……かな?」
「そりゃ……」
廊下から1番遠い席で、テニス部の部長と仲睦まじげに話す桜架の姿があったから。
別に俺以外の奴と話すなとは言うてへんし、彼女が誰かと会話しとるんを目撃するんは、これが初めてやない。
せやけど、部長と話す桜架の態度が今までの奴らとは異なった。
それまで人付き合いが下手だったせいか、今までの奴らに対しては、どこか壁みたいなもんを桜架の方が作っとった。
なのに。
「なして、部長とはそないに親しげなんや」
沸々と胸中に渦巻く怒りにも似た感情。
そして、それは簡単に俺の許容範囲を超えた。
部長の手が桜架の肩に伸び、彼女を抱き寄せたから。
桜架の表情は見えんかったけど、彼女が振りほどかんちゅうことは、つまりそういうことなんやろう。
「成程な、それが桜架の答えか」
呟いて踵を返す。
ぎしり、と噛みしめた奥歯が嫌な音を立てた。
投げられた
賽(なんでこうも俺をイラつかせるんや)
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