『うー。さむいっ』

まだ18時やってゆうのにもう街はネオンで煌めいてる。もうすっかりそんな季節や。隣で寒い寒い言うてるなまえを適当にあしらいながら歩く。なまえはまともに歩かれへんことくらい知ってる。適当に返事しまくってても、立ち止まって駄々こねられるだけ。そんなん余計。

『ねぇ光。さむいよー』
「せやな」
『さむいさむい!』
「寒い言うから余計寒なるんやん。ブツブツ言わんとはよ歩き」

俺かてめちゃくちゃ寒いわ。そう言い返したらとき、なまえが足を止めた。…こうなったらなまえは訳わからんこと言い出すことが多いねん。長いこと付き合ってても、これだけはわからん。ここはハナから白旗あげるか。

「…どないしたん」
『ゆっくり歩きたい』
「寒い寒い言うんを楽しんどんか」
『速く歩いたら、そのぶん早く光とバイバイだもん。光とさむいさむいって言うのも楽しいけど…。私は少しでも多く光と
「ごめん。ゆっくり歩こ」

なまえの手をとると、思ったよりあったかかった。なんでなまえはさらっとそんなこと言えんねやろ。俺なんか未だに言えんでおんのに。いつまで照れ臭がってんねん。でもやっぱり顔は熱くなる。赤くなってんの、なまえは気付いてるんやろか。普段は鈍感なくせに、変なとこだけ鋭いから困ったもんや。

『…光もなんでしょ?』
「なにが」
『光も私と一緒の気持ちなんでしょ。いいよ、言わなくても。わかってる』
「…なんか複雑やわ。心読まれんのは」
『わかるよ。二年も一緒にいたら』

なんでこんなとぼけた奴に敵わんねやろ。思い返せばずっとや。
なまえがまたゆっくり歩きだす。その歩幅に合わせて俺も歩くとなまえはヘラヘラッと笑った。いつものなまえの笑いかた。

『冬もたのしいねえ』
「寒いだけやから嫌やわ」
『ふたり一緒なら楽しいよ』
「せやな。さむいさむい」

可愛さ余ってなんとやら。なまえは憎らしさより可愛さ余って愛らしい。こんなん言うた日には死んでまいそうや。

街はキラキラ光ってる。なまえと迎える三度目の冬も、きっと笑顔がいっぱい詰まってる。



冬だより




(よーし!らぶらぶしてきたところで町内もう一周!)(か、勘弁して…)



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月影の沙織さんより、頂きました。
思わぬプレゼントに狂喜乱舞したのは、言うまでもありません。

そして、この財前とヒロインが1周年に頂いたゆうやけこやけの2人というにくい演出に、またも悶絶。
沙織さんの書く財前が可愛くて可愛くて。
この天然ヒロインちゃんに振り回される具合が何ともツボなんです、私。

前回までのお礼さえもままならぬまま、沙織さんには、素敵なプレゼントを頂いてばかりで本当に申し訳ありません。
必ずや頂いたものに見合うお返しをいたしますので……!




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