感じる視線。
合わせると慌てて反らされる視線。

あいつからの視線に気づいたんは2年になりたての頃から。





「今回は俺が消すわ」
『…!』

今日の日番は俺とみょうじ。
3時間目が終わったとこで、みょうじが黒板を消そうとしてた。

「1時間目も2時間目もみょうじが消してたやん、だから俺が消すわ」
『や、い、いいです…』
「みょうじばっか日番の仕事してるって怒られるやん」

みるみるうちにみょうじの顔が赤くなってく。
俺はというと、笑いを堪えんのに必死やった。

『こ、黒板くらい私ひとりで消せるから!』

みょうじも限界やったんやろか、顔を真っ赤にしながら怒鳴られた。
それを聞いてた女子たちがみょうじさんひどーい、とかヒソヒソ話しとったけどそれは違う。

お前ら鈍感やなあ、みょうじは俺が好きやから照れとんねん。
そんな優越感を感じながら席に戻ることにした。








そのまま迎えた放課後。
俺はみょうじの席に向かった。

『は、はい…?』
「俺も手伝うわ」
『……』
「日誌」

軽くみょうじを睨んでやると、すぐにみょうじは頷いた。
そんなみょうじの前の席に腰をおろす。



するとみょうじは日誌を黙って書きはじめた。
俺はそれを前の席に座って黙って見てるだけ。


『…』
「…」
『あ、あの』
「なに?」

恐る恐る話し掛けてきたみょうじがかわいくてつい素っ気なく返してしもた。

『ごめんなさい。手伝ってもられてうれしいのに、こんな態度とっちゃって』
「え?」
『私、今日の髪形へんだし、しかも今日に限って眼鏡にしちゃったし…』

三つ編みにしている毛先を触りながら、みょうじは目を伏せた。
思ってもみんかったことを言われたから、驚きのあまり瞬きを繰り返してしもた。

「…そんなん気にしてたんや」
『こうなることわかってたら、もっとキッチリと準備してきたのに…』
「いや、そんなん」



みょうじの右腕を掴み、顔を近付ける。
触れるだけのキスをすると、みょうじの右手からシャーペンが落ちた。


『な、な…』
「みょうじさ、2年になったときから俺のこと好きやろ」
『!』
「好きって言うてみ、俺のこと」

人ってこんな赤くなるもんなんやってくらいみょうじの顔が赤くなってく。
つい笑ってまいそうになったけど、ここは我慢せな。


『え、えっと…』
「早く」

みょうじが目をグッとつむる。
はずかしさのあまり、目尻に涙ためてんのがまたかわいい。

『す、好き、です…』
「よっしゃ」
『財前くんは…?私のこと…』

耳元に口を近付けて、さっきのキスが俺の気持ち。って囁いてやるとみょうじの顔はますます赤くなった。

『強引だよ、財前くん…』
「みょうじをほっといたら、いつ好きって言ってくれんのか想像でけへんかったし」
『…勇気が出たら卒業式に伝えようと思ってたよ』


俺が笑ったらみょうじも笑った。

このキラキラした一瞬を目に焼き付けようとしたら、
俺の顔も熱くなって、赤くなってんのに気が付いた。










Listen to me



(財前くん、ひとつ間違えてる)(え?)
(入学したときから好きだったよ、財前くんのこと)(お、恐れ入りました)






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ホットミルクの沙織様より相互記念でいただきました。
ちょっぴり強引で意地悪な財前、めちゃくちゃツボです…!
素敵なお話ありがとうございました!





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