キラキラ

視界がキラキラする。

比喩表現とかではなく、ほんとうにキラキラしている。まつ毛に雨雫が乗っかったときのようにまたたく度にキャラキャラと揺れる。そうか雫か、雨かしら、と量の手のひらを上向けてみてもそれは感じられない。首を傾げながらまつ毛に触れてみるとひんやりとしたキラキラが指先に移った。やっぱりなにかしらの水分が、くるりと跳ねあげたまつ毛の先で雫になっていたようだ。はてなんの水だろうと考えたとき、顔の半分を覆い隠した白いものの存在をおもいだした。日常的に付けているのでほとんど顔の一部のようになってしまったマスクの中は温かく呼気で湿っている。そういえばマスクをしたうえにメガネなんかをかければおもしろいくらいにレンズが曇る。わたしの普段は透明ないきが、寒空に白く浮かぶようにまつ毛の先で結露して雫になっているのだ。そこまで考えがめぐった瞬間、寒くて眠い月曜日の憂鬱な朝がにわかに輝きだした。まつ毛に乗っていた雫はもう指の上で気化してしまったけれど、確かにキラキラと。

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