嫌々と首を振る忍者と、同じように嫌々と首を振る俺は、端から見ればすごく不審だったんじゃないだろうか。

「ちょっとだけ、一瞬でいいから!」

先程から、ブンブンと頭を振って拒否を示すその顔の口布を少しずらしてほしいと頼んでいるのだけど。
頑なな態度が未だ崩れることはない。

巻物に書いた筆談いわく、素顔を見せるのが恥ずかしいらしいのだが、俺としては可愛い可愛い忍者の顔だ。一度くらいは拝んでおきたいもので。

「なあ、駄目か」

額宛てをずらしこつんとでこを合わせれば、活発に揺れていた頭が途端に勢いをなくす。
うろうろと視線を泳がせるその様子に、それがもう本気の抵抗じゃないことを知って。

「……唇、すごい綺麗なピンク」

そっとずらし見た素顔に初めて知った事実を告げそこにキスをすれば、真っ赤な顔した忍者の声にならない悲鳴が上がった。

(120816)

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