「忍者は、」

お色気の術とかできないの、と問えば草木に水をやっていた忍者がこちらを振り返った。
水を浴びて光るその草が、忍者の手にかかれば薬草にも毒草にもなるのだから面白い。

忍者が、屋根の上を飛んだり、音も立てずに歩いたり、呼べばいつでも俺の背後に現れたりできるのは知っている。
だからこそ、できない技が見たいというか。

コトリと首を傾げた忍者は、しばらく考えるように口元に手を置いて。
それからこちらへ近寄ると、片手で俺の両目を覆う。

「…?にん、」

忍者、と名前を呼ぼうとしたら、その前に唇を塞がれた。

「……」
「……」
「……?」

口布を直しながら、これじゃなかったかと不思議そうな顔の忍者に、ようやく我に返って。

「忍者…最高…!」

でも二度目からはジト目で見つめられてしてくれませんでした。

(120821)

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