忍者ってどんな技が使えんの、とちょっとした話題作りのつもりだった問いが、驚くほど効果を見せた。

「あのですねあのですねっ!」

嬉々として出来る技を挙げていく忍者は、それはもう大変可愛い。
指折り数える技は「猫と話せる」とか「植木鉢より高く飛べる」とか、技とカウントするには首を傾げるようなものばかりだったが、忍者が嬉しそうだったので良しとする。
その微笑ましいラインナップを目を細めて聞いていたが。

「ねえ、お色気の術とかないの?」
「えっ!」

好奇心と多大な下心からそう問えば、忍者があからさまにうろたえた。
その様子に、やっぱり忍者はそんな術習得してないか、と笑ってフォローしようとしたとき。

「……あ、りますよ」
「え、」

決心した!とばかりの表情で、それでも頬はばっちり染まっていて。
まじか、と驚いて見つめると、唐突に忍者に正面からタックルされる。

「…?にん、」
「お、お色気の術!」

ぎゅっと抱き着かれて、これでいいのかと不安そうな顔で俺を見上げる忍者に殺されかけた。

「……」
「…ま、マスター…?」
「…いやもう…まじ破壊力大だから、忍者これ他の人にしちゃだめだよ…」
「え?」
「俺じゃなかったら死んでた…」
「死ん…?!し、しないです!」

(120821)

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