彼女のフリをしてたらいつのまにか外堀を埋められていた件4




土曜日の午前11時、我が家のチャイムが鳴った。約束通りの時間。

休みの日に会うのも私服で会うのも初めてな上にうちに来るということで無駄に緊張して、もうすでに疲労困憊なんですけど。

玄関の扉を開けるとそこには綺麗めな黒のコートに白のシャツ、それに細身のジーンズを合わせた若狭くんが立っていた。シンプルなだけに素材が光る。めっちゃ格好いい。ついジッと見てしまう。

「…」
「何?」
「あ、なんでもないです。どうぞ」
「ん、ありがと」

そう言って家に招き入れると、お母さんが意気揚々と現れ、若狭くんはニッコリと笑って挨拶を始めた。

「お邪魔します」
「いらっしゃい」
「はじめまして。今牛若狭といいます。いつも紗南さんにお世話になってます」
「こちらこそ娘がお世話になってます。ナマエから色々話を聞いてるわよ」
「変な話じゃないといいんですけど」
「カッコよくて優しい彼氏って聞いてたけど、うちの子にはもったいないイケメンさんね」
「いえ。オレの方こそ。こんな見た目ですけどナマエのことは絶対に危ない目に合わせたりしないので。これからもよろしくお願いします」




…誰、これ…?


お母さんと話す時の若狭くんに関しては、それ以外の感想は特にない。

その後も、
「いつもお弁当をご馳走になってるお礼です」
とか言って人気のお菓子を手土産に持ってきたものだから、お母さんのテンションはさらに爆上がりだった。
「めっちゃイケメン。アンタどうやって捕まえたの」
なんてこっそり言われて、若狭くんの不良っぽい見た目を心配されるかと思ったのに杞憂だったらしい。まだまだ話したそうにするお母さんに、

「もー、お母さん。これくらいにしないと若狭くんも困るから。私たち勉強しなきゃだし」
と無理やり若狭くんを部屋に連行するくらいだった。

「ごめんね、お母さんが…。初の彼氏と思ってるからテンション上がっちゃって」
「オマエおふくろさん似だな」
「そうかな?自分ではよくわかんないかも」
「目元とか笑い方とかよく似てる」
「それよりも私は若狭くんの感じの良さに驚愕してるよ。お母さん絶対若狭くんのこと気に入っちゃったよ」

うそカレなのに気に入られちゃうとやめた時に色々言われるからやだなぁと言う気持ちで言ったんだけど、

「ん、それならいいけど。流石に彼女の親に会うのは緊張する」
と斜め上の返事が返ってくる。

「若狭くんも緊張とかするんだ…じゃなくて、うそカノの親ね…」
「別にどっちでもいいけど」
「よくないよ」

それには返事をせずに若狭くんはキョロキョロと部屋を見渡し始めた。
「な、何?」
「ん、ナマエっぽい部屋だと思って」
「私っぽい?」
「真面目」
「あ、ハイ…」

いや、別にその通りなんだけど…。無駄にいつもの甘いのに慣れすぎて肩透かしだったとだけ言っておく。こうやって女子は若狭くんに毒されていくんだ!恐ろしい!!

私の部屋の真ん中に置いてあるローテーブルに教科書をドンッと置いた。
「勉強しよ!」
「なんで怒ってんの?」
「怒ってないよ。…そういえば若狭くん荷物少ないけどちゃんと教科書とか持ってきた?」
「持ってきてない」
「…今日何しにきたの?」
「ナマエの飯食べにきた」
「そうだよね…若狭くんたちの今回のテスト範囲、私たちの前回のところだったからまとめたノートあるけど見る?」
「ナンデ知ってんの?」
「若狭くんの担任の関先生に普通科の範囲ここだからよろしくって言われたよ…」
「あー、カンちゃんね。そういえばテストの心配されたからナマエに教えてもらうって言ったワ」

こうしてどんどん私は学校の人に若狭くんの彼女として扱われていく。それなのに今回家族までこんなことになってしまって果たして気の休まる場所はあるのか…今更になってちょっと後悔してきた。
でも、私のノートをパラパラめくりながら、
「わかりやすいからこれ見てベンキョーするワ、ありがと」
と言われると、今日呼んでよかったかもと思ってしまう自分は本当に毒されていると思う。まずい。

「それじゃあ私お昼ご飯作ってくるからそれ見ててね。紙とペンは机の上の使ってね」
「何作ってくれんの?」
「若狭くんのリクエスト通りに唐揚げにしたよ」
「ん。楽しみにしてるワ」


唐揚げを揚げていると、すっかり若狭くんを気に入ってしまったお母さんから質問攻めにあった。どうやって出会ったの?と聞かれて、電車で助けてもらった話をしたら、もうそれは運命ね!なんて言われてハハッと笑い飛ばしていたら、唐揚げが少し焦げた。これは私とお母さんのところに乗せよ…



◇◇◇



ご飯を並べ終えた後若狭くんを呼んで、4人がけのテーブルに私と若狭くんが隣同士、お母さんは私の前に座った。

「ご馳走になってすみません」
「いいのよ。誕生日って聞いたし、後でケーキも食べましょ!ナマエが一生懸命焼いてたし」
「お母さん!余計なこと言わなくていいから!」
「内緒だった?ごめんね」
「ハハッ楽しみにしてる」

そう言いながら若狭くんは行儀良く手を合わせていただきますと言ってお箸に手をつけた。唐揚げを一口食べて、
「うまい。ありがと」
となんとも綺麗な顔で笑って私を見た後、次の唐揚げに箸を伸ばした。

お母さんの前だからなのか、いつもより王子様?みたいな感じになってるからなのか、なんか恥ずかしい!死ぬ!

顔がほてって固まる私を見てお母さんがニヤニヤしているのがまたイヤだ。

「ナマエ、お父さんは?」
「あ、今日は会社行ってるよ」
「若狭くんに会えなくて悔しがってたわ」

いやいや、お父さん、娘の彼氏に会うのが気まずいから無理やり仕事作って会社行ってたから。何言ってるの、お母さん。

「オレも残念です。次はご挨拶させてください」
「ぜひきてね!」

いやいや、若狭くんまで何言ってるの!これじゃホントに結婚の挨拶だよ…。なんだこれ…。

2人はずっとこんな感じだったので、ご飯を食べ終わる頃には私のライフは残っていなかった。



◇◇◇



「メシうまかった」

食べ終わって私の部屋に戻ると若狭くんが笑いながら私の頭を撫でた。

「気に入ってもらえてよかったけど…お父さんに挨拶とか言うとお母さん本気にするからやめたほうがいいよ?」
「ホンキだから問題ないけど」
「…そういうの今はいいってば。なんか彼氏できても若狭くんの方がよかったとか言われそうでヤダな」
「…カレシ欲しいの?」
「それはもちろん欲しいけど。ずっと1人は嫌だし」
「ふーん。オレがいるじゃん」
「…」

もうツッコむのやめよ…。若狭くんのプロうそカレは今更だったわ。ホントなんでファンが関係ないところでもこうなんだろ?疲れないのかな?

「そういえば若狭くん唐揚げ好きなの?」
「ナマエの唐揚げいつもうまいから揚げたて食べてみたかっただけ。また他のも食わせて」
「いつか機会があればね」
「待ってるワ」
「…」

下手に了承するとそれを実行するのが若狭くんなので曖昧に終わらせておこう。フリだと思ったうちに来るって言うのも実行されちゃったし…。


「じゃあ勉強しよっか!」
「ん」


基本的に若狭くんは私のノートをみて、わからないところをたまに聞いてくるだけだった。質問が的確なので本当に見てるだけで理解してるっぽい。私は書かないと覚えられないタイプなので地頭の良い若狭くんが羨ましい。

頬杖をつきながら反対の手でペラリとページをめくる指は細くて長いけど骨張っている。やっぱり男の人なんだなってつい目が離せなくなる。

じゃなくて!!勉強しよ、勉強。これで成績悪くなったら元も子もないし。軽く深呼吸をしてシャーペンを握ると、プッと吹き出す声が聞こえてきた。

「オマエ、なんでそんな百面相してんの?」
「なっ、み、見てたの!?」
「こっち見てたじゃん。普通に気付くワ」
「うっなんでもないです…気にせず勉強を続けてください」
「気になるんだけど?」
「なんでもないってば」
「紗南」

そう言って私の髪をさらりと触る。

「!」
「何?」

う…うう…

「…若狭くんの指…」
「指?」
「男の人だなぁって見てただけだよ」
「…オマエな…」
「何?」
「なんでもない」

若狭くんはプイッと顔を背けてノートに目を戻した。

え?何?何かいけないことした?







若狭くんは思いの外ちゃんと勉強をする、かと思ったけどそれは最初だけで、途中から飽きたのか私の中学の卒アルを引っ張り出してきて私の写真を見て心のこもってないカワイイを連発したり、ベッドに置いてあるぬいぐるみに勝手に名前を付け出したりした。(一番のお気に入りに“ワカ”と名付けられて、その日以降何となくその子をギュッと抱きしめるのをためらうようになった…)


私の集中力も切れたし焼いたケーキとコーヒーを部屋に運び、せっかくだしと用意したプレゼントをあげた。ちなみにプレゼントは悩んだ結果、この間破れたと言ってたバイク用のグローブにした。うん、無難な選択。若狭くんも多分喜んでくれてたと思う。




お皿の片付けをして部屋に戻ると、若狭くんは本を読んでいた。
「若狭くん…勉強しようよ…」
「これ読んでからな」
「もー」

そう言って読み続ける。若狭くんの背中しか見えなくて何を読んでるかわからないので若狭くんの肩越しに覗いてみると、私のお気に入りの少女マンガだった。

若狭くんが少女マンガ?意外すぎ…。

その似合わない組み合わせについじっと見つめていると、若狭くんがこちらを振り返った。

「女ってこう言うのが好きなの?」
そう言って見せてきたページは、誰もいない教室でイケメン高校生が平凡な女の子に迫ってキスするシーン。

「うん、まあ。そのマンガめっちゃ人気なんだよ、ドキドキキュンキュンするって」
「ふーん」

若狭くんは興味なさげに返事してマンガ足元に置いた。

ついに勉強をする気になったのかな?よかった…

ほっとしながら私も自分の場所に戻るために立ち上がろうとした時急に手を引かれた。

「わっ」
ビックリしてバランスを崩して床に頭をぶつけそうになるところを頭を手で支えてくれた。
「あ、ありがと」

元はと言えば若狭くんが引っ張ったからいけないのにそんなことも忘れてお礼を言うと、自分が若狭くんに押し倒された状態に見えることに気付いた。

慌てて若狭くんを押し返そうとするけどビクともしない。若狭くんはいつものニヤニヤ顔のもしてなくて真剣な表情に見える。

「わ、かさ、くん?」

名を呼んでも何も反応してくれなくて怖くなる。すると彼の体を押し返していた手を握られて床に押し付けられる。そしてそのまま彼の整った顔が私に近付いてくる。

う、うそ…!?

目をギュッと瞑るとしばらくしておでこに柔らかい触感を感じたと同時に

チュッ

と脳に響く音がした。

「ぎゃッ!?」

私の間抜けな声が部屋に響くとゆっくりと私の手が離された。

おでこに手を当てながら目を開けるとそこにはいつものニヤニヤした若狭くんがまだ寝転ぶ私の顔を覗き込んできて、
「ドキドキした?」
って聞いてきた。

正直何が起こったのかまだ理解できてなかったけど、うるさいほど鳴っている心臓と熱った頬とニヤニヤの若狭くんに
「ばか!!」
と叫んだ。

勉強どころの気分じゃなくなったので、笑いながらマンガの続きを読み出した若狭くんの隣で、そういうのは他所でやってよねとグチグチ言いながら私もマンガを読み始めた。

すると若狭くんから視線を感じてそちらを見ると、若狭くんと目が合って、
「次来た時はココな」
と唇を親指でなぞられた。

「ッ!そんなことしたらうそカノのこと女の子たちに言うからね!」
「ハハッ顔真っ赤。さっきの仕返しだから怒んな」

冗談じゃない。二度と若狭くんはうちに呼ばない。しかも仕返しって私何もしてないし!

はぁ…誰だ一緒に勉強しようとか言い出したのは。

私か…

はぁ…

普通の高校生の感覚で天下の白豹様と一緒に勉強しようとした私がバカだった。



◇◇◇


テストが終わって数日後、私は職員室に呼び出された。何事かと思ったら普通科の先生たち(特に関先生)に
「やる気のない時は名前すら書かなかった今牛がこんなにちゃんとテストを受けるなんて!」
と泣いて感謝された。貸したノートが役立ったみたいでなにより。
あと何故か若狭くんに負けられないといつもの3人も勉強したらしく、今回は赤点がなかったらしい。それはいいことなんだけど、それで先生たちから
「これからも今牛のことよろしくな」
と頼まれるのはどうなんだろう。正直荷が重い…。

そういえばお母さんも
「あんなイケメンでちゃんとした子なかなかいないよ。逃がさないようにちゃんと捕まえておきなさい」
と言ってきて、毎日お弁当を作らされるようになった。これは自分がお弁当作るのめんどいから私になすりつけてきた可能性が高いけど。

私の気持ちとは裏腹に盛り上がる周囲にため息をつきながら私の未来の彼氏はどこにいるんだろうと窓の外を見た。すると何の因果か重役出勤する若狭くんが校庭を歩いている姿がたまたま見えてしまって、また深いため息をついた。
 


◇◇◇



無事に若狭くんたち全員進級できることが決まって涙もろい関先生が泣いて喜んだ修了式が終わり、私は短い春休みを謳歌していた。 

休みだしそんなに会うこともないかと思ってはいたけど、本当に今のところ一度も会っていない。

「しばらく連絡できない」
というそっけないメールがきてから早二週間。若狭くんはどうもメールが好きじゃないのか、メールになるとそっけない。私もダラダラどうでもいい話をメールでするの好きじゃないからいいんだけど。

うそカノを始めて二ヶ月ですっかり毒されてしまったこの身を清めるのにいい時間。塾の春期講習もあるし。
せっかくの春休みだし空いている日に小百合に遊んでもらおうと考えていると、ちょうど小百合から電話がかかってきて、今からカフェで会うことになった。

私の方が先にカフェに着いたので席でメニューを見ながら待っていたら、背中にドンッとものすごい衝撃を感じた。

「な、何!?」
「ナマエー!」
「さ、小百合、どうしたの?そんな泣きそうな顔して」
「お願い、私を助けて!」
「はい?」


どうやら小百合はやっかいな男にナンパされたらしく、その時にナンパから助けてくれた男の子に一目惚れをしたらしい。(ちなみに小百合は美少女。けどものすごい面食いで危ない男好き。要するにタイプは若狭くん。なのでなかなか彼氏はできない)
猛アタックの結果20日に男女4:4でボウリングに行くことになったらしい。けど、ちょうど友達が家族旅行に行ってたり、彼氏とデートの予定だったり、模試があったりであと1人どうしても見つからないらしい。で、最終手段で私にお声がかかった。

「ナマエ!ワカくんに溺愛されてるアンタのことだから難しいのはわかってるんだけど、ワカくんには私からも頭を下げるから!お願い!一緒に来て!」

…。ボウリング?男子と?

え!?行きたい…!

今は彼氏作れないのはわかってるけど、今後のためにも…。認めたくないけどこのままだと本当に若狭くんにうそカノとしてあってはならない身の程知らずのガチ恋をしてしまう…。その前にせめて出会いの種だけでもゲットして、気持ちをセーブしないと。

「ちなみに残りの女の子2人はうちの学校の人?」
「ううん。中学の友達。ナマエは知らないから申し訳ないんだけど…」
「行く!」
「いいの!?」
「うん。若狭くんには私が言っておくから大丈夫だよ!」
「ナマエ!持つべきものは親友だね!」

要は友達とボウリングに行くだけなんだし別にいいに決まってる。まあ知らない男の子がいるかもしれないけど、そういうこともある。そんなのわざわざうそカレに言うことじゃないよね!と自分に言い聞かせる。


しかしその日の夜、タイミング悪く若狭くんから20日会おうと連絡があった。

あーーーー、どうしよう…。やめといた方がいいかな…
でもやめたら小百合に悪いし。それに出会いが…他校の人と知り合うことなんてそうそうないしなぁ。

悩んだ末私は小百合とボウリング行くから別の日にしようと返信しておいた。うん、うそじゃない。

そしたら「次会うの楽しみにしてるワ」という返信が来た。若狭くん、私と会うの楽しみにしてくれてるのかな?そう思うとなんだか心が痛い。
ていうか次の約束してないけど、次っていつなんだろ?



◆◆◆



先日黒龍を解散して、今日はその最後の後始末を終えた。いつもの4人で集まるかとワカに声をかけに行ったら、ワカと特攻隊の峰の会話が聞こえてきた。

「なぁワカ。20日暇?」
「なんで?」
「なんか蓮がナンパ助けたらその女に逆ナンされたんだって。今度ボウリング行くことになってそのメンツ探してるらしい」
「暇じゃない」
「蓮がワカはいるだけでいいって言ってた」
「ナマエいるしいい」
「まだあのブスと付き合ってんの?さっさと別れて他の女探せよ」
「そう言って結構気に入ってンじゃん」
「ハァ?んなわけねーだろ。あんなブスがオレらの大将だったオマエの女だと思うと嫌なだけ」
「まぁいいけど。めんどいからパス」

どうやらワカを女の子とのボウリングに誘ってるようだ。つかオレを誘え。

「オレなら空いてるけど」

そう言って割り込むと、ちょうどそこに現れた蓮が嫌そうな顔をする。

「真一郎くん、オレと好み似てるから連れてくのヤなんだよなぁ。黒龍解散してオレも引退するし、そろそろ彼女ほしい。小百合ちゃんマジ可愛かったし」

蓮の言葉にワカが反応する。
「…小百合?」
「そー、小百合ちゃん。そういえばワカたちと同じ高校だったかも」

小百合?どっかで聞いたことあんな…

「それって何人くんの?」
「4人。頼むよ、俺よりイケメン1人は連れてかないと器の小さい男って思われるし」
「ふーん」

そう言うとワカはケータイを取り出して誰かにメールをし出した。

その間、蓮が
「そういえば真一郎くん、ボウリング行きたいとか言ってて大丈夫?えーと、ヨーコちゃんとやらはいいわけ?」
とオレの古傷を抉ってくる。

「…」
「蓮、真一郎が可哀想だから言ってやるな」
「え、マジか…つか真一郎くんは面食いすぎ。もう少し身の丈にあった女選びなよ。ワカとは違うんだから」
「ま、それは一理ある」
「グッ」

仮にも元総長に向かってなんてやつらだ…

「何連敗目だっけ?14?」
「…」

オレが答えないでいるとメールを終えたのか、
「15でショ。ヨーコのあとマスミもいるから」
とワカが口出ししてくる。

「真一郎…」
と峰が残念なものを見るように見つめてくる。
「うっせー、ワカ!いちいち抉るんじゃねぇ!峰もそんな目で見んな!」

ハハッと笑っているようで目が笑っていないワカが
「蓮、20日行くワ」
とまさかのことを言い出した。
「え!マジで?」
「その小百合チャンと知り合いだけど、オレが行くって言うなよ」
「なんで?」
「ちょっとオシオキ」
「は?」

あ、思い出した。小百合ってナマエちゃんの友達じゃねーか。ということは…

急にワカが行くと言い出した理由がわかったあと、結局その場の流れでオレも行くことになったけど…

正直嫌な予感しかしないからめっちゃ行きたくねぇ!








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