初のゆめにっき文/窓付きの年齢設定を幼くし過ぎて文が拙い/楽しい文じゃない




道路の真ん中に、あの学校でよく見る三角形の赤いやつが置いてあって、その奥に高校生くらいのお兄さんが寝ていた。
お兄さんの肌の色は緑色をしていた。そして体中に赤い絵の具(何だか違う気がするけど)がベッタリとついていた。
お兄さんは動かない。声をかけても、肩を叩いても、一回だけ叩いたことがあったけど、やっぱり全然動かなかった。
私はお兄さんのことが気になって、最近は毎日のようにお兄さんのところに行く。そして話しかける。それでも私は、お兄さんの動いたところを一度も見たことがなかった。


その日は雨が降っていて、私はお気に入りの赤い傘をくるくると回しながらお兄さんのところへ向かった。
今日も、やっぱりお兄さんは赤いやつの奥でぐったりと寝ていた。髪やほっぺたや、なんと目に雨粒が落ちても、お兄さんは一切気にしない様子でいた。私はプールの中で目が開けられないから、目の中に雨粒なんかが入ってきたら、絶対に驚いて跳び上がってしまうだろう。お兄さんは“ガマンづよい人”だなあ、と思った。
最初は少し離れたところからお兄さんを見ていた私だったけど、雨に打たれいてるお兄さんを見ているとちょっと悲しくなってきて、お兄さんを傘の中に入れてあげることにした。
お兄さんの体を傘に入れて、その中に私も入る。傘に雨粒が当たって跳ね返るトントンという音がよく聞こえた。その音が凄く心地好くて、私はついうとうととしてしまって、いつの間にか眠ってしまった。



―…夢の中で、私はお兄さんと一緒だった。いつも全く動かないのが嘘みたいに、楽しそうに笑って、私と手を繋いで歩いていた。
―…ああそうだ、思い出した。お兄さんは私の近所に住んでいた。
高校生のお兄さんとは、私と、あと私の家の隣に住んでいる姉妹とで、よく遊んだ。


―…あの日も、4人で遊んでいた。

その頃お兄さんと姉妹のお姉さんは、凄く仲が良くなってきていて、それを私と姉妹の妹である女の子とで一緒になってからかっていた。

その時だった。
一台の大きなトラックが、私達の方へ猛スピードで向かって来た。
私と女の子は咄嗟に逃げられたけど、お姉さんは足がすくんで動けなくなってしまった。

トラックがもうお姉さんの目と鼻の先だった時、突然お兄さんが走り出した。
そして動けないでいるお姉さんの体をぐっと押して、それから…―






「それから…それから、お兄さんはトラックに当たって、血がいっぱい出て、死んじゃったんだ」


私はいつの間にか目を覚ましていた。
私は全て思い出していた。

お兄さんのこと、あの時のこと。

「お姉さんと女の子は、それから様子が変になっちゃったんだ。それで暫くしたら、いつの間にか会えなくなっちゃってた」

私はお兄さんへとあずけていた体を起き上がらせて、そしてお兄さんの顔をじっと見つめた。
お兄さんはとても綺麗な顔をして眠っていた。


「お兄さんは死んじゃってたんだね」

そう、全部思い出した。
お兄さんは死んだんだ。私と、姉妹の目の前で。


私はゆっくりと立ち上がると、それから一度も振り返らずに元来た道を帰った。



多分、もう私はあそこへは行かない。



記憶
(忘れたままでいたかった)


(20120606)
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