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標的3




その日、殊夏達のクラスに転入生がやってきた。



「イタリアに留学していた、転入生の獄寺隼人君だ」

『(イタリア?リボーンくんと一緒だ…)』



この短期間での共通点に密かに感動する。



「ちょ…かっこよくない〜?」

「帰国子女よ!」



はしゃぐ女子たちにファンクラブなんてものが出来るのではと殊夏は苦笑する。



「獄寺君の席はあそこの…獄寺君?」



先生の話を最後まで聞かずズンズンと歩いた先はなんとツナの前。



「でっ!」



獄寺はいきなりツナの席を蹴ると黙って自分の席へと戻った。



「(なにすんだよっ。目があっただけじゃないか)」



一気に顔を青ざめたツナ。



「ツナの知り合いか?」

「知らないよ!」

「ありゃ絶対不良だな」



ひそひそと男子たちが恐れる横で女子たちは…。



「でもそこがいい…」

「怖いところがシビレるのよね〜」

「ファンクラブ結成決定だわね」

『(ホントに結成した!)』



休み時間。飲み物を買いに自販機によろうと殊夏は廊下を歩いていた。



『それにしてもあの転入生…獄寺君って不思議な人だなぁ。急にツナ君の机蹴ったり…』

「気になるか?」

『わっ!リボーンくんっ』



いつのまにか窓枠に立っていたリボーンに話しかけられ驚いた殊夏。



『またツナ君を見張ってたの?』

「まあな。それより、獄寺のことが気になるのか?」

『え…気になるっていうか、まあ…インパクト凄かったし…』



どう伝えればいいのかと、あたふたしながらも殊夏が言えばリボーンはニッと笑った。



「そうか」

『?』

「気になるなら見ていろ。もうすぐツナも来るからな」

『え、ツナ君が?』



リボーンが殊夏の肩に座り外を見たので殊夏も外の方を見ると、今まで気づかなかったがそこには獄寺がいた。



「あっぶねーっ」

『あ…ツナ君』



リボーンが言ったとおり、慌てた様子で顔を真っ青にしたツナがやってきた。どうやら不良かなにかに絡まれていたようだ。



「ヘタしたら半殺しになるとこだったぜ…………」

「目に余るやわさだぜ」

「!き…君は転入生の…!」



まさかいるとは思わなかったツナは、教室でのこともありさらに顔を青ざめた。



「そ、それじゃこれで」



さっさと立ち去ろうと方向転換したツナだったが、次の獄寺の言葉に歩みを止めた。



「おまえみたいなカスを10代目にしちまったら、ボンゴレファミリーも終わりだな」

「え!?なんでファミリーのことを?」



窓から話を聞いていた殊夏も驚いていた。



「オレはおまえを認めねぇ。10代目にふさわしいのはこのオレだ!!」

「な!なんなんだよ急に?そ…そんなこと言われたって…」



困惑しながらも獄寺に申し立てるツナ。



「球技大会から観察していたが、貴様のような軟弱な奴をこれ以上見ていても時間のムダだ」

「バレー見てたの!?」



黙ってみていた殊夏は肩のリボーンを見る。



『もしかしてリボーンくんは気づいてたの?』

「あたりまえだ。オレが呼んだんだからな」

『ええっ!』



驚く殊夏をよそにリボーンは銃を外へと構えだした。



「目障りだ。ここで果てろ」

「んなぁ!?バ!爆弾!?」



くわえていたタバコで爆弾に火をつけると、それをツナへと落とした。



「あばよ」

「うわ!うぎゃああ」



ーーーーズキュウウウ.



「ち」



獄寺のダイナマイトは爆発する前に銃によって火縄が切られた。悔しそうに舌打ちをすると獄寺は銃が撃たれた方向を見た。



「ちゃおっス」

「!」



半泣き状態の青ざめた顔で声がした方をハッと見たツナ。



「リボーン!!劉閻さんまで!?」



苦い顔をしてツナはリボーンを見た。



「思ったより早かったな。獄寺隼人」

「ええ?知り合いなの?」

「ああ。オレがイタリアから呼んだファミリーの一員だ」

『えっ?ファミリー?』

「じゃあこいつマフィアなのか!?」



驚いた顔でリボーンを二人は見る。



「オレも会うのは初めてだけどな」

「あんたが9代目が最も信頼する殺し屋、リボーンか」

「(ええ!?リボーンってそんなスゲー奴だったの?)」

『(リボーンくんって何者?)』

「沢田を殺ればオレが10代目内定だというのは本当だろうな」

「はぁ?!何言って…」

「ああ本当だぞ。んじゃ殺し再開な」

「おい!まてよ!!」



獄寺の言葉にまた一気に青ざめたツナ。殊夏も目を白黒させていた。



「オレを殺るって…何言ってんだよ冗談だろ?」

「本気だぞ」

「なっ、ま…まさか…」

『リボーンくん…?』

「オレを裏切るのか?リボーン!!今までのは全部ウソだったのかよ!!?」

「ちがうぞ」



チャ、とリボーンは銃口をツナへと向けた。



「戦えって言ってんだ」



リボーンの言葉には!?と仰天するツナ。



「た…戦う?オレが転入生と…?」



ことの状況を理解したツナはダッシュで逃げ出した。



「じょっ、冗談じゃないよ!マフィアと戦うなんて!!」

「まちな」

「うわぁ!!」



ツナが逃げた前方に立ちふさがるように現れた獄寺は、残りのタバコ全てに火をつけると先ほどよりも多くのダイナマイトに火をつけた。



「なあっ!!?」

『どこからあんなに…』

「獄寺隼人は体のいたる所にダイナマイトを隠し持って人間爆撃機だって話だぞ。又の名を、スモーキン・ボム隼人」

「そ!そんなのなおさら冗談じゃないよ!!」



前がダメなら横だ、とツナはまた走り出した。



「果てろ!!」

「うわぁーーーーっ」



そんなツナを黙って逃がすことはなく、ダイナマイトを投げつけてきた獄寺。爆風に巻き込まれながらも直撃をなんとか避け続けるツナもすごい。が…。



「!げっ、行き止まり!!」



前にも左右にも逃げ道がなくなってしまった。



「うそ!」

『ツナ君!!』



あとを追ってきた殊夏が見たのは、獄寺に追い詰められたツナの姿。



「殊夏動くなよ」

『えっ?』



鋭い眼光でツナを見た獄寺。



「終わりだ」



バアッとダイナマイトをツナへと降り注ぐかのようになげた獄寺。



「ぎゃあああっ」



もうダメだ、とツナがそう思った時だった。



「死ぬ気で戦え」



ズガン、とリボーンが死ぬ気弾を放ち、それはツナの脳天へと直撃した。



「!」

「復活!!!死ぬ気で消化活動!!!」



例のごとくパンツ一丁になったツナは飛んできたダイナマイトに手をのばすと導火線を握った。



「消す!!」

「!」

「消す消す消す消す消す消す消す消す消す!!」



次々と素手でダイナマイトの火を消していくツナに獄寺も驚きまた新たにダイナマイトを用意した。



「2倍ボム!!」

「消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す!!!」



しかしそれらもツナの手によって消されていく。



「3倍ボム」



ごそ、と器用に大量のダイナマイトを用意した獄寺だったが、ダイナマイトを一本ポロ、と落としてしまった。



「!」

『あっ』



そのせいでバランスを崩し次々とダイナマイトは獄寺の真下に全て落ちてしまった。



「(ジ・エンド・オブ俺…)」



やべ…と獄寺が死を覚悟した時だった。



「消す!!!」

「!」



獄寺の真下にあったダイナマイトに飛びつくと、ツナはまた火を消していく。全てを消し終えた時ちょうど死ぬ気タイムが終わった。



「はあ〜なんとか助かった〜〜〜〜」

「御見逸れしました!!!あなたこそボスにふさわしい!!!」

「!?」



安心していたツナの背後で、ガッと地面に手をつくと獄寺は頭を下げた。突然の事に殊夏は目を点にさせる。



「10代目!!あなたについていきます!!なんなりと申しつけてください!!」



先ほどまでの気迫はどこに行ったのかと思えるくらい、獄寺の顔は畏敬の念でいっぱいだった。そんな180度態度の変わった獄寺にツナは目を見開く。



「はあ!?」

「負けた奴が勝った奴の下につくのがファミリーの掟だ」

「え゛え゛!!?」



離れていたリボーンと殊夏が近づいてきてリボーンが言ったことにギョッとしたツナ。



「オレは最初から10代目ボスになろうなんて大それたこと考えていません。ただ10代目がオレと同い年の日本人だと知って、どーしても実力を試してみたかったんです……」

「……」

「でもあなたはオレの想像を越えていた!オレのために身を挺してくれたあなたにオレの命預けます!」



げっ、と顔を青ざめると手をブンブンと振るツナ。



「そんなっ、困るって命とか…ふ…普通にクラスメイトでいいんじゃないかな?」

「そーはいきません!」

「(こ…怖くて言い返せない。つーか何なのこの状況って…)」



もう泣くしかなかったツナ。



「獄寺が部下になったのはおまえの力だぞ。よくやったなツナ」

「な、何言ってんだよ!」



こまるよ〜っ、と言っているツナにニッと笑うリボーン。



『すごいねツナ君』

「えっ、えっと…」

「10代目、誰ですかこの女」



ギッと睨んでこちらを見てきた獄寺に殊夏は反射的に背筋を伸ばして自己紹介する。



『同じクラスの劉閻殊夏っていうの…よろしくね』

「同じクラス?なんでそんな奴が…」

「殊夏はツナの初ファミリーだぞ」

「なっ!」

「リボーン!!だからオレは認めて…」

「…一つ言っておくがな」

『え…』



ビシッとツナを示しながら高らかに獄寺は宣言した。



「10代目の右腕は、オレだからな!!!」

「(ええーっ!!!)」

『…うん?』



あまりの剣幕に殊夏は頷くしかなかった。



「ありゃりゃサボっちゃってるよこいつら」



ん?と声のしたほうを見ると、そこには少し前にもツナにからんでいた三年がいた。



「こりゃおしおきが必要だな」

「サボっていいのは3年からだぜ」

「何本前歯折って欲し〜い?」

「(ゲッ。ヤ、ヤバいよ…)」

「オレに任せてください」

「『!』」



何をするんだ?と二人が見ているとダイナマイトを取り出した獄寺。



「消してやらー」

「ちょっ、まってよ獄寺君!ダイナマイトはだめだって!!」



ーーーーツナ、二人目のファミリーゲット!!!





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