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『シエルがキレたから何かあると思ってくれば』

「お嬢様、お仕事の方は『休憩』



きっぱり言い切ったダリアに何か考えているな、とセバスチャンはとりあえず黙る。



『決めたわ、私もその勝負にのった』



シエルの肩に手をおきながらダリアが言えば、シエルはフッと笑ってソーマを見た。



「お前でも意味がわかるな?」

「要はコレでお前に勝てば、シエルもダリアも俺と遊ぶんだな?」

『勝てればね』

「負けたら僕達の邪魔をせず大人しくしていろ!」



というわけで始まったシエルVS.ソーマ。



『3分で5本勝負。多く点を取った方が勝ち、いいわね』

「では、始め!」



セバスチャンのコールの直後、ソーマがシエルに向かった。



「もらった!!」



振り上げたソーマを見てクスリとダリアが笑った。

ーーーーぐにん.



「!!?」

「足はフルーレの有効面じゃない」



フルーレが曲がったことに驚くソーマにシエルは。



「残念だったな!!」

「わっ!」



容赦なく攻撃をしかけた。



「卑怯者!俺はルールを知らないんだぞ!」

『ゲームに卑怯者も何もないわ』

「ルールを知らないお前が悪い。勝負は勝負だ」



ふふん、と笑いながら二人が言い、クス、と笑ったセバスチャンに悪人め!と押し黙るソーマ。



「あ゛〜〜〜〜くそっ。この剣っ、くにゃくにゃ曲がって使いづらい!!」

「フェンシングは前に突くのが基本。剣を横になぐように振ったのでは」

「はっ!!」

「胴体がガラ空きだ!!」



そこを突こうとシエルがフルーレをソーマに向けた時だった。



「王子!!危ない!!」

『!?』



ーーーードッ.



「ツ!?」

「!!」



ソーマの前に出たアグニがシエルの腕の急所に一突き入れた直後、がくんっ、とシエルは膝を地に着いた。し…ん、となる室内の中、ダリアがシエルに走り寄る。



『シエル!』



その声にはっ!!と顔を青ざめるアグニ。



「シ…シエル様!!申し訳ありません!王子が負けてしまうと思ったら体が勝手に…!!」



セバスチャンもシエルに駆け寄り安否を気にかける。



「あっはっは!アグニ!よく主の俺を守った、誉めてつかわす!アグニは俺の執事で俺のものだ!つまりは俺の勝ちだ!!」

「そっ…」

「さーーーー遊んでもらうぞ!」



ーーーービュンッ.



「うおおっ!?」



いきなり飛んできたフルーレを喜んでいたソーマはギリギリかわす。



「王子!」

「ダリア!何をする!」

『あ゛?』

「!?」



ソーマはダーツさながらにフルーレを投げたダリアに文句を言おうとしたが、どこのマフィアだと思うほど怒りを露わに青筋浮かして睨んできたので、その恐ろしさにピシッと黙った。セバスチャンはその様子にため息。

理不尽に負けたのもそうだが、シエル大好きダリアにとってこの様な結果は許し難かった(特に相手がソーマなだけに)。



「おやおや。これは君がご主人様の仇をとらないとね」



それを見ていた劉はダリアが投げたフルーレをキャッチしてまた投げた。



「執事君」



投げられてきたフルーレをキャッチするセバスチャン。



「なんだやるのか?シエルとダリアの執事よ」



はぁ、とため息を吐きながら見てきたセバスチャンをシエル、ダリアは見返す。



「全く…二人してルールを知らない素人に意地悪するからですよ」

「なっ」

『貴方どっちの味方よ!』

「もちろん坊ちゃんとお嬢様の味方です」



「ですので」とセバスチャンは立ち上がった。



「主人を傷つけられたとあっては、ファントムハイヴ家執事としては黙っている訳にはいきませんね」



血払いをするようにフルーレを振るった後ボソッと呟いた。



「何より予定を10分も押してますし」

「『お前そっちが本音だろう』」

「面白い、いいだろう。決闘を許す!」



アグニ、セバスチャンが対峙した。



「アグニ!カーリー女神の名にかけて絶対に負けるな!」

「セバスチャン、命令だ」

『あのガキを黙らせなさい!』



主の命に、執事は言った。



「御意のままに」

「御意、ご主人様」





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