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恥ずかしがらずに手を挙げて言え




「いらっしゃいませヨ〜」
『カードはお持ちですか〜?』


マダオに頼まれて私らはコンビニで1日店員をしていた。


「……いや、いらっしゃいじゃなくて。おぬしら勤務中であろう。何故うまい棒を食べているのだ」
「うまいからでございますヨ〜」
「…おぬし私をナメてるだろう」


神楽の横で私は食べながら買った品物を袋につめていく。


「オイッ!!ボロボロボロボロ食べグズが袋に入ってるだろーが。ちょっ…店長ォォ!店長を呼べェ!!」
「店長の坂田です。お客様何か不備でもございましたか?」
「不備はお前らの頭だァァァ!!」


奥から現れた銀ちゃんの手にはチョコスナック。


「オイ、なんかエライ怒ってんじゃねーか。お前ら何やったんだよ」
『理由不明です』
「来た時からずーっと怒っているであります店長」
「オイそのサクサクを止めろって言ってんだよ。オイ!オイ!」
「すいませんお客様。僕ら臨時で入った者なんで難しいことわかんないっス。でも一生懸命やるんでよろしくお願いします」
『よろしくお願いしまっス!』
「ちょ、カスとんでんだけど!一生懸命やらなくていいからその棒とれっていってんだよ!」


すると神楽が電子レンジにつめた袋を入れスイッチを押した。


「オイちょっとそれ何あっためてんの!?」
「自分わかんないっス。でも一生懸命やるっス!ウッス!」
「ウッスってちょっとジャンプとか入ってんだけど…」


ーーーーパン!!


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛爆発した!なんか爆発した!!」
『ドレッシングが爆発したっスね』
「何をするかァァ貴様ァ。ジャンプがドレッシングまみれではないかァ!!」
「自分わかんないっス。でもこんな冷たい時代だからこんなアットホームなコンビニがあってもイイと思うっス」
「いいわけねーだろ!てめェ弁償しろコラァ!!」


それからしばらく言い合いをしていたが、新八が万引き犯を捕まえてきたのであとは神楽に任せて私らは奥の部屋へと向かった。


『高屋八兵衛、十六歳』
「新八と同じ年か。いい年して恥ずかしくねーのか。母ちゃん泣くよお前」


特効服を着て見事なまでのリーゼントをしたこのガキ、なんと新八の知り合いだった。


「大体オメー、こんなにたくさんの整髪料どーするつもりだったんだ?心配しないでもキマってるよ。お前自分に自信をもて!」
『そうだよ。そのクロワッサンいかすよ。ひゅーひゅー』
「コレ全部俺が使うわけねーだろうが!!それからクロワッサンじゃなくてリーゼントだ!!」
「じゃあなんだご飯か?ご飯にかけてサラサラいくつもりだったのか?」


なんだそのご飯。


「…タカチンなんでこんなこと。タカチンこんなことする奴じゃなかったじゃないか」
「うっせーよ。あれから何年たったと思ってんだ?もう俺はオメーの知ってるタカチンじゃねーんだよ!もういいから奉行所でもどこでもつれてけや!はりつけ獄門上等だコノヤロー!!」


て言ってるけどどーすんの?と私と銀ちゃんは新八を見る。別にどーでもいい私らは新八に任せると、新八はタカチンを見逃してほしいと言ったのでそれに同意した。その後いい加減マジメに仕事するかとやっていると、お妙がやってきて新八は先程のことを説明した。


「タカチンコ?だぁれそれ?」


しらねェのかよ。


「いや、タカチンコじゃなくてタカチンです。ホントに覚えてないんですか?」
「昔のことは忘れたわ。私前だけ見て生きていくことに決めたの」


いや思い出くらい残しとけよ。


「そんなことよりみなさんに差し入れ持ってきたんです。銀サンも架珠サンも神楽チャンも食べてください」
「姉御ォォ!!」
『さっすがお妙〜!』
「おっ、食いモン?何?」


私らは意気揚々とお妙の周りに集まる。


「今回は新しい料理に挑戦してみたんです〜。ハイ、だし巻き卵」


真っ黒の物体をみた次の瞬間私らはダッシュ。


「私、飲み物買ってくるヨ!」
『アンタ金ないでしょ私が買ってあげるから!』
「いいって!俺がいくから座ってろ!」
「ここはコンビニよ。飲み物ならそこに腐る程あるわ〜」


お妙に捕まった私らは泣きながら座った。


「新ちゃんアナタもこっちに来て食べなさい。女に恥をかかせるものじゃありません」


この物体を出してる時点で恥曝しだろ。


「新ちゃん?」


お妙が呼んでも何の反応もない新八を私らは見る。


「…姉上。確か【舞流独愚】っていえば一番タチの悪い連中ですよね。窃盗だの傷害だの平気でやる連中だって」
「…………新ちゃん、アナタそんなにタカチンポのことが……」
「姉上、タカチンです。段々悪化してますよ…タカチンがあんなになったのは僕のせいなんです。彼が一番困ってる時、僕は彼をつき離したんだ」


詳しく話を聞けば、寺子屋時代にタカチンは授業中もらしたそうだ。しかも大。
助けを求められた新八だったが寝たふりしていたんだと。まあ、私たちからしてみれば……だからなんだよ?て感じなんですけど。すっげぇくだらねェ…。


「青春なんて砂上の城ですよ。ほんの些細なことで全て崩れおちてしまう」


些細すぎるだろ。


「アレからスグ、僕は借金のせいで寺子屋に通えなくなったけど、タカチンがその後どんな生活を送ったか容易に想像できますよ…あの時僕は一体どうすればよかったんですかね。どうすればタカチンを救えたんですかね」
「……いや無理だろ」
「無理無理」
『絶対無理』
「無理じゃないわ」


お妙?


「友達が泣いている時は、一緒に泣いてあげればイイ。友達が悩んでる時は、一緒に頭かかえて悩んであげればイイ。友達が脱糞した時は、あなたも脱糞しなさい新ちゃん」


……なんか、違う気がする。


「どんな痛みも友達なら分け合うことができるのよ」


脱糞を分け合うのは願い下げだ。


「そしてね新ちゃん。もし友達が間違った道に進んでしまった時は…その時は、友情を壊してでも友達を止めなさい。それが真の侍の友情よ」
「………すみません店長。用事がありますので早退させてもらいます」


そう言うと新八はコンビニから出て行った。行き先はわかってはいるけど。


「…オイオイいいのかよ。最近のガキャなにするかわかったもんじゃねーぜ。どーなってもしらね〜よ俺ァ」


と、言っていた私らだったが、「お前ら上司だろうが。いってこいよ」とお妙に脅され、特効服に身を包み新八が向かったであろうところへと来ていた。言い出しっぺのお妙は仕事で欠席。

新八は舞流独愚の連中に囲まれながら、タカチンを返せと交渉していた。しかしそー簡単にはいかず、だったら力ずくでもつれていくとあのビビりな新八は真っ直ぐに目を見て言った。ちょっと見直したぞ新八。


「オイ、あんまりナメてんじゃねーぞクソガキが!!たった一人で何ができるってんだ!?」
「一人じゃねーぞ!!」


舞流独愚の連中の後ろから銀ちゃんが叫んだ。その声に連中は一斉に私らを振り返った。


「!?なんだ」
「隊長ォ、やっぱバイトなんてかったるくてやってられませんわ」


私らを見た新八は驚いたような顔をしていた。私らはそれぞれグラサンしたりマスクしたりオールバックにしたりとそれらしく衣装チェンジしていた。


『喧嘩ならあたいらも混ぜなァァ!!寺門通親衛隊特攻部隊【魔流血頭】見参!!』
「そーゆうことで次回は血煙乱闘編だぜ。そこんとこ夜露死苦ぅ!!」


next.

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