3年5組の喫茶店へようこそ!

「よし、もう一思いにやっちゃっていいよ」
「ありがと〜!潔いと助かるよ〜」

文化祭当日。
時間かかるから男子は朝7時集合だから、と日々の生活からは想像できないほどの圧を放つ女子達に脅され、まあ朝練くらいだから別に大丈夫だなと慣れた様子で頷いた千歳は、これ着て、ここ座って、と言われるがまま従順に、もう好きにしてくれと諦めながら自分に関する権利を色々と放棄した。だって、なんだかみんなギラギラしてて怖い。

「・・・やばい、私天才かもしれない」
「いやこれは本当に力作」
「素晴らしいに尽きる」
「・・・もう目、開けていいか?」
「「「うん、いいよ!!」」」

数十分後。
大人しく色々と顔に塗りたくられていた千歳は、取り囲む女子達におずおずと確認して、そして差し出される鏡を手に取った。

「・・・うわ、すげーな」
「めっちゃかわいいよ諏訪部くん!」
「ありがとう?」

鏡の中には、ここ十数年見慣れた顔ではなく、その面影を残した女の子にしか見えない顔がこちらを覗いていた。睫毛はくるんっと上向きにされ、唇は艶々と赤く色付いている。髪は地毛と似た色のウイッグを被せられて、綺麗に高い位置に結い上げられていた。

「諏訪部くん元が良いからめちゃくちゃ張り切っちゃったよ〜」
「写真撮ろ!写真!」
「あっ、ずるい私も!」

テンションの爆上がりな女子達の中で、千歳は鏡を見ていた顔を上げる。

「ねえ、一つ頼みたいことあるんだけど」
「なになに?」
「ここにさ、」

そのお願いは女子達に大変喜ばれ、彼女らは嬉々としながら本物そっくりにその化粧を施していった。



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -