「私、田舎に帰るわ」



久々に会ったなまえは冷めた目で俺を見つめ確かにそう言った。



「なまえ?」

「何?なにも可笑しいなことないでしょ?晋助と私は元々反りが合わないのよ。喧嘩ばかりだし、晋助が浮気してるのだって知ってるんだから」



嫌だ。なまえが俺から離れる?嘘だろ?今まで好き勝手やってきたのは自覚している。だが、なまえはいつだって俺に無条件に帰る場所を与えてくれてたじゃねーか。



「嫌だ!」

「しん、すけ…」



らしくないのは分かってる。プライドとか立場とか考えたら可笑しいなことだというのも理解している。だけど、やっと分かったんだ…



「俺の…傍にいてくれ……たのむ!」



気づけばなまえにすがりついていた。部下が見れば情けないと呆れ去っていくかもしれねぇ。



「晋助にとって、私ってなに?」




耳元からのなまえの小さな呟きは震えていて儚い。そんな声をさせているのは紛れもねぇ俺自身で。まったく情けねぇ。



「俺はなまえがいてくれなきゃ生きていけねー」

「……」

「やっと気づいたんだ、」

「馬鹿な人…」

「あぁ、面目ねぇ」



優しい風が吹き抜けた。俺となまえを包み込む。
すまねーと、一つ濡れそぼった瞼にキスを贈った



(20110306)


べたべたの甘になってますか…これ?なまえさんの気持ちは言わずとも晋助のことが大好きなんです!けど……構ってくれず他の女のところへいく晋助に嫌気がさし別れを告げるという…。一方通行思いと思いきや晋助も愛の表現が分からなかったという感じです。
つぶこさまリクエストに沿えきれずすみません。企画参加ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。
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