指輪に賭けましょう




太さの違う左手の薬指はかつての絆の名残。寂しいのか薬指は痩せたままで目立つ。



「バカだな……」



長期任務に出てしまう彼を待ってられず突き返してしまった宝物。嫌いになったんじゃないの。待つのが怖かったの。
あれから私は一度も恋をしていない。彼だけ。シカマルだけなの……



「…シ、カマル」

「何だよ…辛気くせーな」

「な、シカマル?」

「俺だよ…てか、忍びのくせに後ろ取られてんじゃねーよ」



振り向けばシカマル。数年ぶりの彼は一段と逞しくなっていた。うん、お父さんに似てきたね。



「てか、シカマルが…なんで」

「別れたのに、てか?」

「っ、」

「俺は納得してねー。めんどくさがりの俺だけど本気になれたのはなまえだけだ!だから…これ返しにきた」

「これ!」



シルバーリング。ところどころくすんでしまっているけど、確かに薬指にあったもの。



「俺、今回の任務でそれに助けられたんだ。…ほら、そこ少し欠けてんだろ?」



言われてみると確かに欠けている。鋭い物が刺さったような欠け方だ。



「それな、チェーンに通してなまえ代わりに首から下げてたんだ。俺が敵のクナイに刺さった時庇ってくれたんだ」

「シカ…」

「すっげー感謝した…なまえに」

「なんで?」

「ん、なまえに会いたくて頑張れたからな」

「私から…言ったのに……」

「だから、指輪に賭けてみたんだ。その涙、は?」

「ばか!聞かないで!!」

「クク、ただいまなまえ。愛してる」

「お帰りなさいシカマル。無事に帰ってきてくれてありがとう…」



(20110224)
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