するとね、ほら。




「ビーフジャーキー?」

「あぁ、赤丸に何がいいかなって思ってよ!」



毎回毎回この犬ヤローは……。ビーフジャーキー?彼女とのデートにビーフジャーキーを買いに来る彼氏なんて。ラブラブの"ラ"の字にも程遠い。



「どうした?なまえ」

「……外で赤丸と一緒にいてる。キバはゆっくり赤丸のためにビーフジャーキーでも何でも見てれば?」



◇◇◇



「赤丸…」

「クゥーン」

「赤丸のことももちろん好きなんだよ…?」



でも、キバのことがやっぱり大好きなんだよ。でもね、キバは赤丸が大好きみたいだ、から。だから…
何言っちゃってんの?私ってば。店先で大きな赤丸に寄りかかり独り言を零す私はかなり痛い人らしい。通り過ぎてく人が私を見る視線が"可哀相に"って目してる。



「クゥーン」

「!、あれ?可笑しいな…泣きたいわけじゃないのに……」



知らないうちに私の頬には涙が伝っていた。赤丸は私の頬を舐めてくる。



「なまえ……?」

「っ!」

「泣いてんのか!!?」



キバ、あんたってばなんでこうゆう時はいいの?キバのそうゆうとこ嫌い。



「……キバなんて」

「…なまえ」


---ちゅっ、


「……え」

「しょっぺ、」



一瞬何が起きたのか分からなかったけど、気づいてしまった途端顔に熱が集まってくるのが分かる。



「キ、キバ!!」

「へへ!実はな、最近、赤丸よりなまえ見ちまうだわ!俺、」

「……でも」



触れた唇はまだ熱い。



「だけど…俺恥ずかしーことに好きになった女ってなまえが初めてだから、どこに連れてったらいいとかさっぱり分からなくて…な」



ははは、と頬を少し染め恥ずかしそうにポリポリするキバ。なんだ…私ってばキバに大切にされてるじゃない。



「うお!な、なんで泣くんだよ!!」

「だってー…うれし、くて……」

「っ、//ったく、なまえは泣き虫だなー」



するとね、ほら。
君の貴重な照れ笑いを見れるんだ。



(20110221)
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