片目で見つめる 「ラビっていい奴だけど最低だよね?」 そんな矛盾だらけの台詞を言い捨てたなまえは哀れみを込めた瞳に俺を写す。 「ななんさ、いきなり…」 「さぁ?」 「さぁって……」 こてんと首を傾げるなまえに思わず笑顔をなくす俺。俺はブックマンなんだから気にする必要ねぇんだ。いつもみたいにはぐらかしたらいいんだ。 「そっちの方が断然いいよ!」 「は?」 と思ったらいきなり笑顔になるなまえ。多分、今俺は生まれて初めて怪訝な顔をしていると思う。 「作り笑い」 「あ、」 「笑いたかったら笑えばいいし、笑いたくなかったら笑わなくていい。ラビってさぁいつも作ってるから、」 バレていないと思ってた。否、アレンやリナリーにはバレていない。なまえにもバレていないと思ってた。 「はは、」 「?」 「ははは、悪ィ。じゃあ、なまえの前ではやめるさ」 なまえがどんな表情になるか、分かってその言葉を選んだ。なまえは泣きそうな表情で俺を見上げるんだろ…う、! 「ばーか!」 笑ってた。これでもかってくらい。でも、目は笑ってなくて…… あぁ、そーゆこと。 「っぷ、変な顔さー」 俺はこの瞳に記憶するなまえの表情を。裏歴史ばかりを記憶してきたこの瞳にはなまえは眩しすぎる。 だけど、 (俺はなまえに救われているんさね……) (20110213) |