誰かになんて渡さない




汚い人の世。それを記録するのがブックマンと呼ばれる性の者。現ブックマンには弟子が2人いる。2人の今の名前1人は、ラビ、もう1人はなまえと言う。



「……ブックマンに心はいらねーんさ」



赤毛の男ラビは迷っていた。千年伯爵との世界規模の戦争に参加しながらの今回の任務はラビのらしさを見失うほどの深い関わりとなっていた。



「ラービっ!」

「なまえか」

「おじいちゃん呼んでたよ?」

「はぁ、なんでジジイはなまえに甘いんさ?」



なまえの呼ぶおじいちゃんとラビの呼ぶジジイは同一人物、ブックマンのことである。



「さぁ?」

「やってらんねえさ」

「……ラビはさ」

「?」

「ブックマンに捕らわれすぎじゃない?」

「……何が言いたいんさ?」

「アレンやリナリー、神田は確かに大切な仲間。だから、仲間を守るために"今"戦うの」

「…もし、さ……この戦争が終わったらどうするさ?」

「仲間だった…でいいんじゃない?」

「なんさ…それ、」



ラビ。当たり前にあなたの隣に私がいる。私はそれだけで十分なの。
目の前で仲間が死ぬんなら戦いましょう。仲間の敵討ちという名目で敵を殺しましょう。
ただ、あなたが死んでしまうなら、私は私を殺す。
私から離れるなんて……誰かになんて渡さない!!!



(20110403)
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