孤独の夜が優しく俺を包み込む




「あ、晋助」

「なまえか、」



派手な着物からは吐き気を誘う鉄の臭いがする。着物の模様である黄色い蝶は赤く染まっていた。そんな最悪の状態でアジトを歩いているとばったり出会ったなまえ。



「派手に殺ったみたいね」

「手応えのない奴らだった」

「……その割には血塗れよ?」
「気分だ、」

「……へー」



疑いの目を向けるなまえ。そりゃそうだ。誰が好き好んで敵さんの血を浴びるかよ。



「ま、晋助が無事ならいいけど」

「……!」



ふわりと全てを許しているかのような笑顔を俺にするなまえ。……なまえはなんでこんな血塗れの俺に笑顔をくれるんだ?



「バカか?…なまえは」

「?」



首をこてんと傾げ何を言われているのか分からないといった様子のなまえ。

まぁ…
そんなバカに俺は救われているのかもな、



(20110317)
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