あと心臓何個分の距離だろう 「あたしの心臓をもらってください!」 まだ、十と数年しか生きてないような少女が言った。聞き間違いかとも思ったが、少女の両手は自身の心臓の上を掴み、少女の瞳は真っ直ぐだった。 「いらん。足りている」 角都の心臓はストックも含め満タンだった。ていうか、この心臓が足りない時の方がはるかに少ないわけだが、 「…あたしがまだ幼いから?」 少女は一体何故このようなことを言っているのだろうか?今日、初めて会った角都に。少なくとも角都にとって少女は初対面だった。 「一目で憧れたんです!」 「はぁ、そんだけの理由か?呆れるな…」 「っ、」 「……自身の心臓を、大切にしろ」 「……」 少女は思う。あと心臓何個分の距離だろう…と 角都は願う。少女の心臓は少女の中で動いてほしい…と (20110311) |