甘くとろけて紡ぐ




「ねぇ、デイダラ」

「…」

「デイダラってばー」



デイダラはデイダラのいう芸術作りに夢中で私の相手をしてくれない。



「ねー」

「……」

「はぁ、」



こねてこねて、伸ばして伸ばして、丸めて丸めて……その作業を繰り返すデイダラ。今の時点では何が出来上がるのか分からない。ただ、いつもと違うのは手に付いている口でなく自身の手のみで作っているところ。手のみの場合はチャクラを練り込まないわけだから爆発はしないらしい。ただ、それではデイダラのいう芸術は出来上がらないというわけになる。



「チャクラ練らないと爆発しないんでしょ?」

「あぁ!」

「じゃあ、いつものデイダラの芸術じゃないじゃない?」

「……オイラの芸術、」



ピタリと動きの止まったデイダラ。ひらひらと手を目の前で振ってみても反応無し。



「今なら旦那の芸術も理解できるな、うん!」

「サソリさんの芸術って傀儡のこと?」

「正確には永久の美だ、うん!」



にこにこと機嫌よく作業を再開するデイダラ。造りながら"うん、うん"と何度も頷く。



「?」



出来上がりはなまえの粘土人形だ、うん。
いつでも、なまえが任務で居なくても、なまえを見れるように。
だけど……うん。



「なまえの生きている一瞬の美の方がオイラ何倍もいいな、うん」



(20110310)
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