水面下で呼吸を 私の彼氏はちょっと凄いよ。(ちょっとどころじゃないけど……)なんたって不死身なのだから! 「飛段、……どしたの?」 大好きな気配を感じて振り返ると飛段がいた。しかし、飛段は床に目をやったまま何も言わない。 「ひ、だん?……何かあったの?」 任務帰りなのか飛段からは微かに血の匂いがする。 「…… 、」 「え、なに?……飛段」 飛段の声が聞き取れなくて再度尋ねる。すると、ふるふると震えて飛段はいきなり私に抱きついてきた。 「う、ゎ……びっくりしたぁ」 「死なねーでくれよ!なまえ死なねーでくれよォ!!」 「!」 何故? なんてことは聞かなくてもいい。飛段は不死身だ。しかし、私は命に限りがあるただの人間。たぶん、さっきの任務で人を殺して改めて感じたと思う。飛段と私との違いを、 「ん、できるだけ私も死なないよ……」 「………」 飛段は私の言葉に不満なのか抱きしめる力を強める。 「……もう、私は飛段の傍にいたいから死なないよ?」 それは私の願い。いつか飛段を残して私は死んでしまうんだろう。私も忍者だ。いつ死んでもおかしくない。一緒ならいいのに、そしたら永遠という時間を飛段と過ごせる。 分からぬ先の未来を思って泣きじゃくる飛段が可愛かったのはまた別のはなし。 (20101209) |