鳥籠




「ネジ、兄」



夜も深まった時刻の訪問者。忍びならばもっと警戒態勢をとるべきだろうが…相手は既に分かっている。闇に浮かぶ月光によって障子に影ができその者の姿もそして、自分を呼ぶ声も知りすぎだ人物のものだから。



「どうしたんだ?」

「……」



返事なくが入ってきた彼女を見やる。彼女、日向なまえは俺の従姉妹にあたる。日向の血からかなり離れ生まれた彼女には日向の目はない。



「ん、」



なまえは忍びのものではない額当てを俺に差し出した。巻けということだろう。なまえの呪印を隠すように巻いてやる。なまえは口数が少ないが分家の俺よりも酷な運命の元生まれた。



「巻けたぞ」

「ありがとう‥ネジ兄」



ふんわりと笑うなまえに俺は眉を寄せる。



「無理をしなくていい」

「っ、」



なまえの表情を伺う。その黒みがかった瞳は溢れんばかりの涙を必死にその瞳の中で耐えていた。



「父様が‥、」

「……あぁ」



なまえの父は日向の血が薄いながらも白眼を使うことができる。しかし、柔拳法を発動させるには負担がかかる。



「皆様、父様も私も日向の恥だと、」

「……なまえ」



小さな体を酷使し柔拳法を得とくしようとなまえ親子は分家にやってきだが体がついてゆけずなまえの父は今日チャクラを練れぬ体となった。



「私も白く生まれたかった」

「なまえ、俺は昔日向が憎かったんだ。憎くて憎くてヒナタ様を殺してしまうところだった」

「ネジ兄…?」

「中忍試験でな、」



忍びでないなまえにも分かるように話し出した。いつかの俺があいつに教えてもらった。
自由に飛び回る方法を――…

日向などに捕らわれずなまえは飛んでほしい――俺を救った男の話を聞かす。
その話がなまえを救ってくれるように願いを込めて――…


(20110109)
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