嘘を作って閉じ込める




嫌いだ!嫌いだ!嫌いだ!嫌いだ!嫌いだ!みんな、大っ嫌いだ!
俺は何も悪くない!何も悪くない!



「君は、ナルト?」

「っ、」



誰もいない公園のブランコで自分の影を眺めていたときだった。俺と違う影が増えて俺の名前を呼ぶ。殴られる!



「…殴ると思ったの?」

「え、」

「殴んないよ、私は…」



頭を守るようにしていた手を下ろしながら顔を上げると10歳くらいの姉ちゃんがいた。



「ね、姉ちゃん誰だってばよ!」

「お!急に元気だねナルト」

「………なんで、俺の名前知ってるってば?俺、姉ちゃんのこと知らねぇってばよ」

「君はいろいろと有名だからね。私はなまえ。みょうじなまえって名前、」

「なまえ姉ちゃん、」

「ん?」

「なんで、俺ってば皆と違うんだってばよ、」



これは、里の人間に虐められることを指してか。両親がいないことを指してか。または、腹の模様を指してか。



「………ナルト、君はね皆と一緒だよ?」

「なまえ姉ちゃんは俺のことなんも知らねぇから!」

「知ってる。ナルトより、ずっとナルトのことを知っているわ」

「……?」

「ナルト、ひとつ良いことを教えてあげるわ」

「……なんだってばよ?」

「名前はね、親が子に始めに与える愛情なのよ。名前があるだけで愛されてない子はいないの」



それが、初めて俺が見た他人の優しい笑顔だった。俺だって自分のことは全て知っていた。九尾のせいなのか、はたまた育った環境のせいなのか、俺は幼いながらに暗部並みの頭脳と強さを既に持っていた。こうやってバカを演じているのはただの暇つぶし。



「だからね。ナルト、君は愛されてるんだよ?」



暇つぶしのはずなんだ!



「そう、泣いてもいいんだよ?」



嘘を作って閉じ込めた俺の心は簡単になまえによって解けていった。
今の俺がいるのは##nane_2##のお陰。



「サンキューだってばよ!」



(20110106)
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