全ては、流れる sikiさんより


君は、美しくなっていく。


私は、醜くなっていく。


時間は修正など、出来ぬ惨いものだと、痛感したのは、



君を好き、だと自覚してしまってからだ。




【全ては、流れる】






君に、


『名前先輩。』



私だけ、名前で呼ばれるのが、嬉しいだなんて、



私の全ての細胞から表出など、したくは無いのに、



心は、嘘をつけず、その感情を生んでしまう。



器用に、制御なんて、出来るはずがない。



『僕、…名前先輩が、好きです。』



その、言の葉が、私に向けられる、なんて、私は、君に、相応しく、など無いのに。



『何で…いつも、笑って誤魔化すんですか…?』



私は、誤魔化す事が出来ない、不器用な人間だ。





だって、

笑うのは、制御が効かない程に、全て無くしても構わない程に、嬉しいから。



だけど、



『僕、絶対に諦めませんから。名前先輩が…僕と同じように、僕を』



私はとても、醜い。


『好きになってくれるまで。』



私は、もう悔しい程、憎らしい程、愛している、




兵太夫を。




君と私では、違い過ぎる。


何もかも。






『ねぇ、…兵太夫は、私を殺せる?』



君は、ほら、



泣きそうになる程、


幼く、



汚れていない。



『私は、君を、殺せるよ。』


それは、



『…僕を、嫌いだからですか?』



違うよ。



君を私のものに出来る、実感出来る、唯一の方法だから。



君が、いつか、誰かの手によって、絶命してしまうのが、



死ぬ程、嫌なのだ。


私の手で、君を、永久に眠らせたい、と切願する、なんて、


私は、こんなにも、醜く、汚れ、常態を消失した人間だ。


『…さぁね。』

そして、

私は、また君のいう“誤魔化す”を行う。



その、行為が、君の命日を延ばしているのを、


君は、知らない。


知らなくて、良い。



私の“想い”も、




君の、こぼれていく清らかな滴と一緒に、消えて無くなれば良い、のに。


あぁ、



『…僕を、殺しても、構わないです。だけど、』



君は、どうして、


『名前先輩の、傍に居させて下さい…名前先輩が、僕を、殺すまで。あなたと、共に生きて、逝きたいから。』



此の上無い程に、私を醜くさせるのだろうか。



もう、限界だった。


君は、綺麗な滴が頬を伝っていくのに、



私は、押し寄せる感情が、決壊して、



津波のような、涙で、崩れる、



何もかも。





こんな、私を、君は、



優しく、抱き締めて、唇を重ねて、


2つの涙が入り交じり、1つの涙へ変わっていく。



いっそのこと、私の醜さを、君の美しさで、



中和してくれないだろうか。














君と、


解け合って、


溶け合って、




流れ着きたい、




いつか、




三途の川へ、






1つになった2人で、一緒に。




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