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「はじめまして、わたしは銀河連邦評議会より派遣されました案内人 ナマエ・ミョウジと申します。以後お見知り置きを」


わたしはイクサルフリートのメンバーの中でも恨みの感情が少ない方だったため、ファラム・ディーテの案内人に任命されていた。
あの頃のディーテは、それは目も当てられないくらいバラッバラだった。どの戦士も一目みるだけで何かしらに秀でた曲者だということはわかるけれど、それが斥力に繋がって紫天王ですら全く協調がされていなかった。力だけで集められた即席のメンバーはとても勝ち進められるものではなさそうで、わたしは最初呆れ返っていたのだ。イクサルフリートの強過ぎる結託を知っているから尚更だった。

三回戦迄は力押しも通じていたけれど、星の命運をかけられ必死の対戦相手に苦戦をし始めた時 じわじわと焦りや怒りの蔓延し出したディーテにわたしは言い放ったのだった。


「貴方達は驕り高ぶることが余程お好きなようですね」
「…なんですって?」
「そのようにご自分の事だけしか頭に無いようでは、星の恥をかきに行くだけです」
「……」
「チームの事を考えなければ、ファラム・ディーテは次の戦いに敗退するでしょう。勝利は一人では掴めません このサッカーという競技においては」
「そんな事お前ごときに言われずとも…」
「いや、コイツの言うとおりだ。俺たちは確かに今まで自分のことしか考えていなかった…だからパスも繋がらない」
「…」
「だからこれからは…」


わたしの言葉には納得がいかなそうだったヒラリ・フレイルやロダン・ガスグスも、リュゲル・バランがまとめた言葉には嫌々でも耳を貸していた。これで大丈夫だろう。わたしは建設的な話し合いが始まる頃にはその場を後にしていた。
次の戦いでディーテは見事に勝利を納め、着実に強くなっていった。その最中、対戦相手の星を案内し終わった時わたしは呼び止められた。


「ではこれで、健闘をお祈りしています」
「ナマエさん!」
「…なにかご用ですか、セレン・メルヴィル」
「私今日、ナマエさんの分のお弁当も作ってきたんです!丁度お昼ですしご一緒しませんか?」
「わーい!ご飯だよリュゲル兄ー!」
「そうだなガンダレス」
「…い、いえ、わたしは…」
「そうだ、お前には助言を貰った礼をしていない」
「礼なんて…」
「見ると荒地に咲いた花のようにか細い!きちんと飯を食ってるのか?セレンの飯は美味いぞ!」


あれよと言う間に、わたしは席に座らされ目の前には色とりどりのおかずが敷き詰められた美味しそうなお弁当が広げられていた。勧められるまま、わたしはディーテのメンバーとご飯を共にしてしまった。それからというもの、ディーテとの垣根を超えてしまったかのように親しみのあるやり取りが増えていった。
彼等は評議会員としてのわたししか知らないのに、わたし達は彼等を故郷の敵として見ている。そんな温度差に時折身体の中枢が舵を取り違えるような、不快な気分になることもあった。ディーテの皆は優しかったのだ。わたしたちの星を滅ぼしたかつてのファラム人とは違う。

籍、所属、遺伝子、レッテル…そんな、自身の制御下に無いもので人を決め付けて 勝手に恨んでも良いのだろうか。哀しみも痛みも永遠に消えないけど、それを押し付けていいのか。
この頃からわたしの心には疑問が浮上ていた。しかし、イクサルフリートに点いた火は 心をくべたオズロック自身でも抑えられないくらい激しく燃え上がり わたしなんかにどうすることも出来ないのだった……



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