仲間想い
※妊娠ネタ

陽が眩しい。天気の良い日だ。時間は昼過ぎ。すれ違う人もどこか表情柔らかく感じられる、気分の良い日柄だった。
イシガシはわたしの少しだけ前を、わたしの歩幅に合わせて心なしかゆっくり歩いてくれていた。


「…どうですか、最近は」
「え?どうって?」
「…その、オズロック様との事です」
「あ、うん…順調、だよ」


わたしとオズロックが恋仲だということを知らないイクサルフリートは居ない。謂わば公認の仲なのだ。わたし達と一番近しい空間で過ごすっていうのは、もしかしたら彼に気を遣わせてる場面が多いのかなって思う。わたしはイシガシの事も同胞として大好きだから、家族として一緒に居られる事が幸せだと思うのだけれど。彼はそうもいかないのかなと、時たま申し訳なくなる。


「…夜もですか」
「へっ」
「………」
「あーーう、うん…」
「そうですか…」
「め、珍しいね、イシガシがこんな事聞くなんて」
「そうですね…いえ、もしかしたら…」
「…?」
「なんでもありません、着きましたよ」


女の子…シノーペやデスピナ、果てはララヤ女王には聞かれる事もある。恋バナってやつだ。それでも恥ずかしいのに、イシガシにこんな事聞かれるなんて初めてだからなんとも気まずい。
ほんとうに直ぐ着いたエーギル先生のラボ。イシガシが扉を叩いて、中に入った。


「おや、珍しい組み合わせだ。どうしたんだい?」
「今日訪ねたのは名前が……」
「うん、ふむ…なるほどディオネが……」
「???」
「では検査しよう、イシガシはそこの部屋で」
「頼みます、」
「名前はこっちだ」
「へ?え…はい…」


イシガシとは別室の機械の部屋に通された。いろんな問診と検査をさせられて、イシガシのいる部屋に返される。結果待ちだ。
わたしはかなり神妙な顔をしていたと思う。イシガシが心配そうな顔で椅子へ導いてくれた。ここら辺でやっとわたしは気付いた。ディオネの第六感で先生の所へ行けと言われた事、イシガシが行きの道すがらで珍しくわたしとオズロックの仲について話題にあげたこと、極め付けはエーギル先生の問診と検査の内容だった。尿の採取、そして"オズロックとどんな頻度で夜を共にしているのか"先生がこんな事を…それもわりと…最後はどうなのだとか根掘り葉掘り問診で聞くってことは、


「い、イシガシ……」
「……」
「わ、わたし…わたしもしかして…」
「名前、」


意を決して、イシガシに可能性を示唆しようとした時。エーギル先生が部屋に入ってきた。彼は笑顔だ。わたしとイシガシは顔を見合わせてから、エーギル先生に続きを仰いだ。なんとも言えない気持ちだ。こんな、こんな気持ちになるのか。何を告げられるのか、だいたい解る。わたしは、


「…おめでとう、名前。君はもう、一人の身体ではない」


オズロックの子を、授かった。



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