Absinthe

オルフェウスのマネージャーとしてベンチで選手たちを見ていた。颯爽と駆けるチームメンバーを誇りに思ってみんなを目で追っていたら、赤のくせっ毛がこっちに走ってきた。今の時間は個人練習で、水分補給自由なのできっとそれだろう。

予想通り彼は隣のベンチのボトルをがぶがぶと飲んでいた。



「今日もみんな調子良いね」

「ああ、そうだな!オレも楽しい」

「見てるのも楽しい」



わたしの言葉に、にかっと笑顔だけで返したマルコはまたボトルに口をつけた。


オルフェウスのマネージャー、周りには散々羨ましがられるが実際わたしはマネージャーなんて疎外感だらけの哀しい役だと思う。
オルフェウスイレブンが成長し、団結し、勝利する。当事者でないのはギャラリーと一緒。近い分疎外感はマネージャーの方が強い。



「?、どうした?元気無いな」

「なーんでもない」

「そうか?」



訝しげに顔を覗いてくるマルコのおでこをぺしりと叩いてやったら痛えー!なんて大袈裟に騒いだ。無駄にイケメンな顔は心臓に悪いのだ。



「じゃあオレが名前に元気わけてやるよ!」

「えー?マルコの元気が無くなっちゃうよー」

「だーいじょうぶ!オレの元気はパスタ食べれば回復するから」

「あははっ、それはそうかも。…で、どうやって分けてくれるの?」

「それはな…」



そう言ってわたしの座るベンチに近づいてくるマルコ。どうせマルコの事だから飴か何かをくれるのだろうと思ったら、まだ近づいてくる。



「え、ちょ…マルコっ」



かわいらしいリップ音と満面の笑み。唖然と彼の澄んだ緑色の眼を見ることしかできないわたし。



「元気分けてあげる!」



本当にそれだけ?
貴方の瞳の深いアブサンに酔いそう。


無邪気にキスして



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