確信犯達のお遊び

※現代



なに、これ。
ほんとに後味悪くなるのが目に見えてる。滅多にされない告白なんかをほのめかされたメールが携帯の存在感を誇張する。でも残念ながら全くそういうふうに見れない相手だから、わたしの心を占めるのは騒めき立つ罪悪感だけなのだ。
答えは決まっているけれど、一体どうやって返信すれば相手を傷つけず、それでいて気まずさも無くやり過ごせるのか。わたしは数分前に何気なく携帯を開いた時のまま、ぴしりと固まってしまっていた。ああ、断る正当な理由があれば。



「ねえ、なに?何分そうしてるつもり?殺人予告でも受信してた?」

「っえ?あ、え?ああ、な、なんでも」

「ハイ嘘。なに、告白とか?」

「っ、は!?な、なん」

「図星かよ」



後ろの席の笹山はつまらなそうにだらりとだらしなく椅子に垂れた。なんだか無性にドキドキが止まらなくてそわそわする。全く悪い事なんてしてないのに、居たたまれないような、



「で、断ったんだよね?」

「え、ああ、まあそのつもりなんだけど、どう言うのが一番いいか…」

「そんなの彼氏居るって言えばいいだろ」

「それ言えたら苦労しないよ」

「言えばいい」

「え」

「ほら僕がさあ、なってやるって言ってるんだよ」



急に、苛々ゲージが振り切れたみたいにガタガタ無駄に音を立てて立ち上がった笹山は、わたしの胸元の制服のリボンを根こそぎ鷲掴み引き上げた。顔が近い。笹山はもう片方の手でわたしが持っていた携帯を払い落として、更に顔を近付けた。息遣いまで伝わるくらいに



「お前、断らないだろ?ぼくならさあ」

「いつ…っから、気付いてたの」

「そんなの、忘れたよ」



これはわたしも期待していいんだよね?嫉妬…なんて言ったらまた機嫌を損ねちゃうかもしれないから言わない。
でもこれでわたしは正当な理由を手に入れられました。なんだか申し訳ないけど、わたしはある意味貴方のお陰で幸せになれそうです。ごめんなさい、立花先輩。
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