スクールライフラブ4
「ねえ田村」
「無駄口叩く暇あるなら仕分けをやれ仕分けを」
「田村」
「…なんだよ」
「どうすればもっと胸大きくなるかな」
「ぶっっっ」
盛大に吹き出した彼はその勢いのまま頭を計算機にぶつけて動かなくなった。あーあ、また計算やり直しじゃない?田村馬鹿じゃない?
「ねぇどうしたら」
「う、五月蠅い!馬鹿!そ、そ、そんな事は女友達にでも聞け!」
「えー?だってみんなあんまり良い方法知らないみたいだし。牛乳好きじゃないし揉むとか無いし」
「ぼ僕だって同じような一般論しか知らんわ!」
「なんだ、」
「…にしてもどうして急にそんな事聞くんだ?」
なんだかジトっとした視線が送られる。わたしはそんな恨めしそうな田村に昨日の事を話した。
昨日尾浜先輩はあれから、言いたい事を言ったらまた爽やかな笑顔を向けて颯爽と校舎に戻ってしまったのだ。それからずっと考えてる。どうしたら、胸が大きくなるのか。
「お前…それで馬鹿みたいに聞き回ってるのか?」
「失礼な!わたしは真剣なんだから!」
「いや失礼なのはむしろ…」
「ん?」
「…なんでもない。お前、そんな事言われてまだあの人の事嫌いになってないんだな」
一度計算機に目を向けて苦い顔をした田村はまた初めから数字を打ち込み始めた。わたしはその姿を尻目に、意味も無く窓の外を見た。あ、尾浜先輩だ。
「うーん、そうだね。なんだか違和感を感じてたんだよね」
「違和感?」
「うん。わたしたちが知ってる尾浜先輩だけが尾浜先輩じゃないというか、むしろあの発言が聞けたとき妙にしっくりきてしまったというか…」
「なんだそれ」
「あと格好良いし」
「結局そこかよ」
呆れたような田村の声を聞き流して、剣道部の部長さんと話している消しゴムくらいの尾浜先輩を見た。いつも思うけど最高に絵になる。
あ、そういえば。
「目指すところがわからないと努力のしようがないじゃない」
「なんか言ったか?」
「んーん何にも!また放課後もここ集合でオーケーだよね」
わたしは立ち上がって会計室の扉に向かった。多分急いで行けばまだ尾浜先輩を捕まえられる。思い立ったが吉日、昼休みはまだある。
「あ、おい仕分けっ…」
「終わってるよーじゃあまたね!」
「……忙しい奴」