スクールライフラブ3
…筈だった。
学園祭の準備があり、こんな中途半端な時間に下校する友達は居なかったので仕方なく一人で帰る事にした。しかし玄関を出た先で、なんと尾浜先輩が微笑んでいたのだ。
「え、お、尾浜、せんぱ」
「やあ、さっきの臨時会計委員の子だよね?」
「あ、はい」
「名前、なんていうの?」
尾浜先輩は人懐っこい笑顔を浮かべて、わたしの方へ三歩近づいた。先輩の笑顔はとっても可愛くて、また会話出来たのが嬉しくて、顔がほんのり熱を持つのを感じた。
舞い上がったわたしは、まさか先輩わたしの事待ってたんじゃないかとか、それで話しかけて、一体、一体その先には何があるのかとか。まさかまさか尾浜先輩と学園祭をカレカノとして回れたり!とか、頭の中がまたお花畑になっていた
「苗字名前、です」
「そう、俺は尾浜勘衛門」
「あ、あの、先輩は」
「ん?」
「どうしてここに…?」
「ああ、君を待ってたんだ」
わたしはこの言葉で一瞬で、もう食べられませんお腹いっぱいです状態になった。リアルタイムで脈打つ心臓が血を送り出しすぎて怖い。死んじゃいそう。
「俺ね、君みたいに可愛い子にちやほやされるのって大好きなんだ」
「…?」
なかなか近かった距離が更に詰められてまたまた心臓は大きく鳴りだすんだけど、頭は尾浜先輩の口から(多分)聞こえた言葉を咀嚼するので忙しかった。え?ちやほや?
「だけどね、」
先輩が伸ばす指に肩がびくりと跳ねる。指は、トンとわたしの鎖骨の下の辺りを優しく押した。そしてまた、にっこり笑顔のまま口を開いて
「もっと胸大きくないと、駄目かなあ。残念」
(また出た、あいつの悪癖。)