スクールライフラブ
※現代
そう、iPodの中はエレクトリックな3人組のアルバムが何枚も入ってる、なんて。
そう、電車の中で一生懸命髪を結んだり、スカートを先生に目を付けられない程度に折ったり、鞄の持ち方とかリボンの微妙な結び方とか、
そう、わたし忙しいの。だって花香る高校生だもの。
窓枠に切り取られたあの人の横顔が、蜜のように甘い。安直で未熟で、デリケートな
――――
そう、尾浜先輩はわたしにとって学校に行ったら貰えるご褒美、砂糖菓子。ほんとに、視覚から味覚を感じるくらいに。だって格好良いもの。運動会学園祭始業式後のHR、クラスの出し物を決めたりする時期なんかもう、心臓何個あっても足りない。教壇に立ってクラスをまとめる先輩を見てたら身体中沸騰しそうで見てられないけど見てたい。
自分のクラスの事は、うん、もう皆が勝手に決めればいい。わたしはなんだっていい。だから今は隣校舎の尾浜先輩を見させてください。
「ってちょっと待って、わたしなんで会計なってんの」
「なんでもいいんでしょー」
「会計って!いや、会計って!無いでしょ。だって殆ど会計室で計算機とお友達!会議となれば予算の取り合いで戦争だし…折角の学園祭なのにクラスの出し物参加出来ないあの!会計!」
「何でもいいとか言って黒板ろくに見ないで2年A組しか見てないヤツが悪いー」
「うっ…だって…会計っていつも固定メンバーじゃん…なんでわたし…」
「なんでだろね?なんかうちのクラスはプラスもう一人らしいよ」
「えぇー…」
「でも級長はほら、予算合戦は参加しないけど予算案提出はしなきゃいけないじゃん。もしかして同じ空気吸えたり…」
「全力で頑張るすごい頑張る」
「あんた扱いやす」
わたしが簡単に丸め込まれてつまらなくなったのか、隣のお友達はわたしと話すのを切り上げたみたいで黒板を向いてしまった。
しかしわたしの頭の中はまさにお花畑だった。ちょっとした接点でも舞い上がってしまうのだ。廊下でだって何度かしかすれ違った事はない。わたしは窓枠に切り取られた、消しゴム程度の先輩を見つめるばかりだったのだ。それがもしかして、来週からはもっと!そう、筆箱くらいの先輩を拝めるかもしれないのだ。
「これは…今日から小顔コロコロ何時もの倍やるわ」
「あんた気合い入れすぎ」