七夕



「もう5ヶ月になるんだな」

「ん?うーんそういえば…あのバレンタイン以来だもんね」




今わたしは兵助の部屋にお邪魔している。


あれから私達は付き合いだし、今では部屋にお邪魔するような仲になっている。女の子からはかなり注目されていたのに、今まで浮いた噂を聞いたことがなかったので、多分私が高校で初の兵助の彼女ってわけなのだ
そんな感じで、兵助はあまり女の子の経験が無いためか、5ヶ月、わたしたちは未だ清い関係だ。
三郎なんかには物足りないだろお前なんて言われたりするが、こう見えて満足している




「…何書いてるんだ?」

「短冊だよー」

「…そういえば七夕か」




今まで勉強していた手を止めて振り向いた兵助の睫毛に未だどきりとする私は、かなり重症なんだろう




「書くだけで、多分引き出し行きだよ。飾る笹とか無いしね」

「……どんなお願い?」

「えー?ちょっと恥ずかしいから見せたくないなぁ」

「……恥ずかしいような願い事したのか?」

「え!は、恥ずかしい事したいとかじゃないからね!!」




必死に弁解をするわたしを見て口元を押さえて笑いを堪えてる兵助。あ、からかったな




「見せろよ、」

「…うーん」

「…ものによっては俺が叶えてあげれるかもしれないだろ」

「わ、わわっ!へーすけ格好良いっ」

「う、うるさいっはやく見せろって」




時々兵助は素で格好良い事を言うから、わたしも恥ずかしくなってしまう
兵助は照れたのかほんのり頬を染め顔を反らせて、わたしの手の中の短冊に手を伸ばした




「…」

「……」

「…、こういう事は本人に言うべきだろ」

「う、だって照れくさいじゃない?」

「はぁ…織姫と彦星も忙しいんだからこういう事は俺に言うの、わかったか?」

「…はーい」

「……俺、女の子の経験とか少ないし」

「…」

「どうゆうふうにすればいいのかとか解んないから、名前につまんないと思われるかもしれないけど…」

「……」

「…ちゃんと好きだから、俺も一緒に居たいと思ってる」

「へ、へーすけっ」

「わっ、」




思わず抱きついてしまった。だって余りにも真っ直ぐで、素直な、ピュアな気持ちを向けてくれたから感極まってしまう

兵助は驚いていたけど、そっと、でもぎゅっと腕を回してくれた。それもすっごく、嬉しかった




「ふふっわたし兵助と居れればそれで幸せだよ」

「…うん、俺も」






織姫も彦星も、きっとわたしの願い事を叶えてくれたんだ。

忙しいのにごめんなさい。でもわたしは幸せです、ありがとう、
貴方たちもわたしのように幸せいっぱいになれますように!
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