二人あわせて美味しい豆腐!
「わっ、すごい鬱いでるね…大丈夫?」
「もう無理。女って無理」
「え、なにどうしたの…てかわたし女だけど」
「顔だの頭だの運動神経だの…愛って何?」
「あー彼女ちゃんと何かあったんだ。もう何人目?んー…5人?」
「そのくせ豆腐に理解を持たないし。え?それで兵助愛してるとか言われても俺わかんない」
「それはいけないね。久々知くんと付き合うと豆腐も付いてくるものだからね」
「どうせ友達に自慢したいだけだ。この顔の隣に並んでこの顔に抱かれたいだけなんだ馬鹿馬鹿しい」
「そうね。女って馬鹿よね」
「…愛って何なんだろう」
「…月並みだけど、愛するというのは愛されたいと願う事だと誰かが言ってた」
「愛されたいと願う……」
「…はい、愛する豆腐でも食べて元気になってまた悩める青春を送りなさい少年」
「あ、……」
この人ならうまく行くかもとふと思った。だって今丁度豆腐が食べたいと思ってたところなのだ。
でも、一体なんて言って気持ちを伝えれば良いのかわからなかった。だってよく考えてみれば俺は今まで一度も告白をした事が無い。愛されたいと思った事が、無い
「っ…お、」
「お?」
「俺が豆乳で、名前さんがにがりっ!!」
「わっ」
「一緒に美味しい豆腐になってくれませんかっ」
よし、完璧だ!だってもし俺が逆にこう告白されたら即交際決定だからな
名前さんがなんかこんなふうに一年と抱き合ってるやつを参考にしたんだか、我ながら最高のアレンジだと思う
「ぷっ…あはははっ」
「?」
「な、なにそれっ!久々知くん可愛いー!」
「か、可愛い…?」
可愛いなんて初めて言われたので困惑した。
名前さんはツボに入ったようで爆笑しながらも、俺をぎゅーっと抱き返してくれて、そちらの方がずっと可愛い。
「あー面白い。久々知くん反則だよ今の告白は!恋愛対象外だったけど付き合いたくなっちゃう」
「っ、それじゃあ」
「それでも元は対象外なんだからそう軽く付き合い始められないよ」
「……」
「そう目に見えて落ち込まないでよ。まだ振ったわけじゃないんだから」
「え…?」
「惚れさせてくれればいいのよ。頑張ってわたしを落としてみせてね」
先日までなんとも思ってなかった笑顔がまるで花のように可愛く見えて、何故か顔が熱くなった
よし、待ってろ満点を取ってやろうじゃないか
(どうやら最近兵助は勉強と豆腐以外に熱を上げるものを見つけたらしい)