だ あ れ ?
「昨日一緒に町行ったの私」
「……は?」
「だから、昨日一緒に町行ったの私」
「え…わたしは久々知くんと…まさか」
「私が四六時中雷蔵をしているとは限らない」
「あ、あんた…騙したわね!」
「騙される方が悪い」
「一緒にお団子食べたの鉢屋?!」
「何時もなら五本は食ってるのに昨日は二本だったな」
「簪買ってくれたのも鉢屋?!」
「私が桃色って言ったら嬉しそうにしてたな」
「…手繋いだのも鉢屋?!」
「手汗酷かったな」
「し、信じない!嘘だ!」
「まあだ信じないのか?私の前とは違って媚び売ってたな。お前なんかが可愛い仕草しても気持ち悪いだけだったがな」
「…っ!」
「……どうした、殴れよ」
「最低!こんな時にまで久々知くんの顔しないでよ!」
「兵助の顔をするだけで殴れないと言うなら、お前は兵助を顔でしか見てない」
「っ……」
「そうだろう?兵助はこんな表情はしない…っ!」
「…殴ったわよ…」
「…っ言われてからじゃ意味無いだろ」
「…なんなのよ!何がしたいの?!わたしからかって苦しめて楽しいの?」
「私はただ…」
「ただ?何よ!」
「ただ、お前が欲しいだけだ、どんな手でも使って」
「はぁ?意味わからない!わたしはこの件であんたなんか嫌いになりそうよ!」
「それはどうかな」
「…何よ」
「昨日お前と一日町に行ったのは誰だ?口元の団子のたれを拭ったのは誰だ?桃色が似合うと言ったのは?手を繋いだのは?それに顔を赤らめたのは誰だ?」
「……」
「…お前が昨日焦がれたのが誰なのか、よーく考えてみるんだな」
ほだされそうな、わたし