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「Hi~,Teo.(こんにちは、テオ)」


久しぶりにこの空間にボクとアンディー以外が訪れた
先ほど淹れた珈琲が入ったカップを綺麗な手が持ち上げて上品に口に運ぶのを見ていた
まるで映画のワンシーンのようだ…この人の仕草はみな上品で全てが優雅だ



「デ、あのバカ兄貴はどこへ?」

ギラリとアッシュグリーンの目が光る

「仕事かな…?」

「何よ、その疑問形は!」

正方形の机の真正面に座るこの美男、キーラン
愛称はキーだ。アンディーの実の弟でボクとは同い年だ。
なんと言うか、お姉さんみたいだ


「起きた時にはもう居なくて…」

何時に寝ただろう、昨夜は特にしつこくって眠りについたのは外が水色になってからだ。
ボクが起きたのは14時、シーツも体もきれいになっていて隣には誰も居なかった
どれだけ爆睡だったんだと少し自分に呆れてしまう。


「へぇ〜」

肩に付かないぐらいの癖のあるグレーがかった綺麗な髪を指でくるくる弄りぶっきら棒に言う。
光に透けるとキラキラと輝いてベールみたいに綺麗なんだ

「まあいいか」と一言


「ねえ、ちょっと服全部脱いで」

「…はい?」

「いーから!寝室行くよ」

せっせと立ち上がり、腕を掴まれ無理やり寝室に連れて行かれる
行きたくないと足を踏ん張るも、いつの間にやら足が宙に浮き大きな体で俵を担ぐようにボクを持ち上げた
家に帰りたくないと駄々をこねて爪を地面に張り付かせ踏ん張る犬のあの気持ちが少しはわかる気がした。


どすんとベッドの上に投げられるも質の良いマットレスが反発を吸収し強い衝撃を受けることはなかった。

「ちょ…ッ!」

「いい格好」

ベッドに押し倒され、キーがボクに覆いかぶさる
ロングシャツ一枚に下着だけと言うラフすぎる衣服は容易く脱がされ
ふくらはぎを掴まれてしまった、これじゃあ全て丸見えじゃないか

ニヤニヤとボクを見下ろすアッシュグリーンは捕食者だった


「覚悟しな」

「ヒッ…っ」











約3時間後


ガチャリと玄関のドアが開き遠いところから「ただいまテオ〜」と言う声が聞こえてきた

うわ、まずい

「ッ、ちょっと…!」

「シッ、動いちゃダメ」

普段はリビングにいるのにいないボクを不審に思ったのか「テオ?」と名前を呼びながらアンディーが寝室に向かってきた。

「どこ?」と疑問満載と言った声色と共に足音がどんどん近づいてくる

その音がドアの前で止まり遂にガチャリと寝室のドアが開いた

「やあ兄さん」

「…キー何してんだ」


椅子に座っていたキーがドアの方に顔だけ向けて挨拶をする
一瞬戸惑うも呆れた声で問うアンディー
生まれたままの姿でベットに横たわるボク


「何って、見たらわかんでしょうよ、デッサンよ、デッサン。」

そう言いながらキャンバスから離した鉛筆でアンディーをビシッと差す
置き物のように静かに息をする

「あのなぁ」

「なんでよ、いいでしょう。いつも兄さんばっかテオを独り占め、こーんなとこに二人暮らし。実家には全然顔出さないしさぁ」


ハァとため息をつきながらボクの方に向かってきたアンディーにシーツごと抱き抱えられてミノムシみたいにシーツに埋もれた。ほんの少しばかり顔を出しているボクの額にキスをした後に目蓋、頬を伝い口にもキスをされた。

綺麗な瞳が和らいで、目の横に小じわが見えた


「ただいまテオ」

「おかえり」

不慣れさに少しばかり照れてしまう
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