「…ぁ、わかった…俺の部屋でいい?」
「あぁ」
ここで司の部屋に行くと昨日のことを思い出しそうでなんか嫌だった。
平常心を保てなさそうだ、いや、正直今もだけど…。
家のドアを開けようと司の方へ近づく
もうホント足とか震えてないか心配
今にも震えそうな手で鍵を開けドアノブを捻った
最初に俺が中を入りその後ろを司が追う
「……っ」
バタンとドアが自然に閉まる音がいつもより大きく聞こえた。
何が起きたのかわからない。
「のぞみ」
分かるのは背中から伝わる体温と耳元で聴こえる低い声。
「ぇ…?」
パニックだ。なぜ抱きしめられた
なにがなんだか分からない
「昨日はごめん。勘違いしてんのなら言うけど、俺怒ってねぇよ」
怒ってない…?
本当に?
「ぁ……おれのほうこそ、ッご、めッ」
ホロリと涙が零れた
嘘だろ
気付く拳を握る
あれ俺ってこんなんだったっけ
さすがに感傷的になり過ぎだろ
ダサい、と頭の片隅で考えるけど
正直そんなの今ではどうでもよくて
ただただ背中から伝わる司のぬくもりを感じたかった