▼ こしふぇち!19*大人

*第三者目線 大人設定(24) 恋人

午前 0:56

武藤梓の意識は微かなベッドのスプリングの軋みと頭を撫でられる感覚でだんだんと浮上していった。

「…ん」

「起きたか」

重たい目を開けると数年前と変わらない顔がある
いや、数年前よりも格好よくなっているかもしれない

その人物は風呂でも上がったのか髪が微かに濡れていてダボッとしたシャツに短パンもというラフなかっこをしている。何度も見ても見惚れてしまう。

「はいりなよ」

ぼーっとした頭で毛布広げてスペースあけると素直にその身体は布団の中に潜り込んできた。ピッタリとくっつき、片腕で上半身だけを横にお越し頭撫でられ眠くなる。くらりときそうな匂いが鼻腔を擽り、いつでも梓を触る手は優しく温かい。その温かさに再び梓の意識が遠のく直前ふと何を思ったのか梓は重たい目を必死に開いた。

「…りゅーくん、おやすみのちゅーは?」

「……」

これにはさすがの龍も一瞬固まった。どんな誘い文句だろう。


「…ねえ」

「りゅーくんじゃねえだろ」


思考停止間近の頭で必死に言葉の意味を理解する。
そうだ二人の掟があるのだ。
もう24になるのだ。成人男性がくん付きで(しかも恋人に)呼ばれるのはどうなの、ということになった。
といっても中々この癖は抜けてくれない。ふとした時にはやはり「りゅーくん」が出てしまう。

「りゅう」

でも梓はこのことが嬉しかったりする。
なんか対等な関係になれたようで。

「ん」

そんな梓に満足したのか顔を屈めてキスがしやすいようにしてくれる。なんだか数年前と比べて甘くなった気がした。

「んー ちゅ」

自ら顔を寄せて唇をぶつける。この行為も日課である。

離す際にちろっと相手の舌唇を舐め少し目を開けると相手と目が合う。

「たまんねえなお前」

「んーっ、りゅう〜」


日課を終えて一気に眠気が襲ってきたのか梓は足を絡ませ龍に擦り寄った。程よく鍛えられた筋肉はシャツ越しにでも伝わって梓はこれがお気に入りであったりする。


「あずさ」

「…ねむい」


安心する。
この言葉が今の梓にぴったりだ


「おやすみ」

再び頭を撫でられて梓は夢の中へ堕ちていった。


長い間寝顔をみて、すっかり夢の中に堕ちてる恋人にちょっかいをかけてみる。

気持ちよく眠る梓の頬を人差し指で突っつく

「ぅ…」

龍が思うに梓はあの頃よりも美人になったと思う。
子供っぽさが抜けたからか、影で地味な美人と呼ばれていた人物は大人になり周りからは綺麗な人と認識されるようになった。体の線も相変わらず細い。ヒョロイというわけではない、足腰もしっかりしておりどこからどう見ても男なのだが、イロがあり浴衣類が似合いそうだ。


少しビクついた肩を撫でそのまま胸元を滑り服の中に侵入する。鎖骨をつーっと指の腹でなぞると切ない声が聞こえてきた。その声を聞いて笑いそうにはなるのを堪える。


「可愛いな」


梓にとって鎖骨というのは性感帯になりつつあるのだ。
その原因は言わずもがな龍。

少し弄くり倒しすぎてしまった結果だろう。


満足したのか龍も最後に梓の目元にキスを落としその華奢な体を抱き寄せ目を閉じた。





朝、目が覚めた。

いつも通りりゅーくんが目の前にいた。
ふ、とした時にそれがとても小恥ずかしいかったりする。

多分高校の頃の俺だったらうわ!うわ!って感じなんだろうなあ。



寝顔を見ていたら無意識にある言葉を発していた。

「…好きだよ龍」

うわ、俺何やっちゃんてんだろ
馬鹿か、こんなの聞かれた時には…


「朝から愛の告白ってやつ?」

「え…!」

超絶恥ずかしすぎて死にてえ
目が飛び出るかと思うたワ

急に体温が上がってくるのがわかる。だって頬が熱いんですもの。

「…ばーか。」

するとふっと笑い距離を縮めてくる。
ちゅっと軽い水温がして反射的に目を閉じる。

やっぱりゅーくんの唇は柔らかいなぁ、なんて。
なんて恥ずかしいクソ男なんだ俺は


「そんな馬鹿を好きなのはだれ?」

「……おれ」


ああ、全くやってられないほど恥ずかしいゼ

付き合いだして7年目

変わったことといえば身長と少しの落ち着き。
年を取りそれ相当の落ち着きは身についた…はずだ。
時々今でも厨ニ病だがな。ドヤ顔


いつも通り平常運行で逝きますわよ。…行きます
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