▼ こしふぇち!15*もしもシリーズ

*もしもあーんなんてされちゃったりして。

全てはりゅーくんのこんな言葉から始まったのだ。


「梓さ」

「はいはーい?」

「プリンとケーキどっちが好き?」

「ふぁ!?」

ちょ、いきなりッスか

「…近日に俺の誕生日とかないよ…」

「知ってるっての。お前、6月生まれじゃん」

「!!!!」

「なに」

「合ってる!!感動した」

「馬鹿かお前。…で?どっち」

「ぷるぷるプリン」

「…おー」

わかった、とりゅーくん小声で言ったけど何がわかったのか理解できないよ俺氏。
やーね。説明してちょんまげって感じ。


こんな会話を忘れかけていた4日後の昼休みの話。



窓側の一番後ろの席に座っているりゅーくんにこっちにこいと言われて駆け寄る

白い箱を差し出された。

「これ」

「コレハ…!!」

中を開けるとぷるぷるぷりんだった。
さくらんぼついてる。

「なになに、 これどうしたのまじ 」

「買った。」

「ですよね 笑」

「好きって言ってたから」

「…ほぅ…。」

なにか企んでいるのかお主

「食べてみて」


すごい高そう。4個入りじゃん
カップじゃなくて瓶に入ったプリン初めましてなんだけども。ちょっっとまって。これを買ってるりゅーくん想像してみ?似合わなすぎてジワジワくるんだけど…


プリンの上の生クリームの上の…さくらんぼいんチャンが君臨してるやつが2個と俺の推しメンかぼちゃプリンちゃんが2個

こ!こ!わ!
まず推しメンのかぼっちゃんデショ

上の蓋を外してプラスチック製のスプーンでツンツンする。やべえええてええ弾力やべええええ

ちょっと心の中で叫びながら掬ってみて口に含んだ。

「…!うま」

「だろ?」

「うん!!!やばいなんか蕩ける」

「おれも。 ん」

「え?」

「だから、 ん」


薄く口を開ける…なんてこったそんな仕草もカックイイ
これは、もしかしたらアーンしろと?
うそでしょ、りゅーくうううんんん


周りをきょろきょろと見てみるともちろん昼休みなので生徒がお弁当を食べておりまして…いま、中西くんと目があったんだけど変な勘が働いたのかニヤニヤしながらこちらを凝視してくる、くっそ!お前、なんか楽しそうだな!

「ほら、早く」

「え」

「そのスプーンに乗ってるやつでいいから」

「…」

「あー、もう、くれねえなら腰触らせてやんね」

「うっ」

ずるいずるいずるい
ここで腰を出してくるのはズルい

普通に考えて嫌だろ!!!
こんな平凡が、イケメンのカテゴリーに入ってるりゅーくんにアーンとか絶対あとでネタにされるし、そもそも男同士でこれってちょっと、それとも俺の考えすぎ?世の男子高校生はこれがJKなの?

ハッ!?JKしらねぇの?!

JK(常識的に 考えて)だぞ!!!!覚えとけピッグ!

よし、一瞬でサッとりゅーくんの口にこのスプーンをゴールインすればきっとみんなも気付かないだろうて…そうに違いない。サッと、サッと…よし

横向きに座っているりゅーくんの前に立って、よし戦闘体勢きたぞ!

「…はい、あーん」

「…」

サッとやろうとしたんだけど入れる直前にずれやがったな!!!お陰でプリンは俺の添えてた手の方に落下したじゃねえか!!

「…ッ!!おま…ワザトダロ!!!」

「は?なんのこと?」

くっそう。どうすんだろこの手に落ちたプリンちゃん


そんなことを考えてプリン見つめてたらいきなりりゅーくんの頭が視界に入ってきて

「はぁ? ちょ、ちょッ!!」

ナニヤッテルノカナ。
少し濡れた舌が手のひらを這う感触

「あま」

あま、って飄々とした表情すんなよバカァン

「次こそちゃんと口まで届けろよ」

なんなのコヤツ…

もう一度周りを見渡すと俺らの声がデカかったのか皆、俺らのことを見ていた。え、なにこれ。変な空気が流れてるヨ


「ほら早く」

「…りゅーくん」

俺なんかこういう風な注目のされ方に本当に弱いというか。緊張にも似た感覚が襲う。多分おれいま赤面してるだろう、よくわからないけど恥ずかしい時って誰にでもあるヨナ。


りゅーくんの制服の袖を掴む
保険をかけとこう。

「…今度はずれないでね」

「っ…」

目を合わせて言ったらなにか言いたそうな顔していたがそんなの知ったことか、ましで。今はこの空気を早く終わらせたい。切実にアーメン

「あーん」

「ん」

ちょっと震えてた手がプリンを運ぶ。
本当、おれ皆に「嘘だー」って言われるんだけどチキンですから!!押しとか弱いから!ほらあれ、全校生徒の前で今年の抱負みたいな作文読まされた時にはガチガチになって真っ白になるやつ!!ひたすら俺に注目しないでくれ!って思う。はぁ、ふざけてる時はみんなの前でも普通に心臓ドキドキしないのにな。

ようやくりゅーくんが、ぷりん食べてくれてちょっとホッとした。…終わった。

そう思った途端、いきなり腰をぐいっとされ引き寄せられた。あああいい匂い相変わらず
座っているりゅーくんに対して俺は立ってるからりゅーくんが俺の胸辺りに顔を埋めてて表情がみえぬぞ。


「あのさ」

「…はい」

「なにそれ」

「え?」

「震えすぎ。」

「…恥ずかしいじゃん普通」


はぁ、とため息を一つ

「ちょっと可愛かったから許す」

「…意味わかんない。ばかじゃん」


そんな会話をしていたら後ろから何かが盛大に倒れた音と「中西!?どうした!?」っていう声が聞こえた。

中西くぅううんん後で集合


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