(百合とご都合性別転換注意)






「ファッ!?うそ、モーさんは男の子になったの??マ?」

「っ、なっちまったもんはしょうがねぇだろ!」

2トーンくらいいつもの声より低い声は威圧的に聞こえて、喋り方も癖もそのままなのについびっくりしてしまった。
声もなにも出さなかったけど、彼女の、否彼はそういうのに聡いからそれに気づいて少し傷ついたような顔をした。

「そうだよな、怖いよな…」

顔付きも少し大人っぽくなって、すこし背も高くなって、でも細身で髪の毛もまつげの長さも変わらないからモードレッドはモードレッドとわかるのに、今一番不安なのは彼女なのに、

「そんなことない!」

仔犬のような目でモードレッドがこっちを見た。
うぐっと怯んでしまう。
女の子のときからかわいいしかっこいいし好きだけど、私も腐っても女だ(腐ってはない)。
異性からしかも見目麗しい青年からそんな目で見られたらドキッとしてしまう。

「オレが本当に男になっちまって…、マスター嫌いになったか?」

柔らかそうな肉付きの小さくてほっそりした女性らしい手ではない、骨張った硬そうな男の手が近づき顔に触れないところで止まる。

嗚呼、またモードレッドが眉間にシワを寄せてる。癖になるとあとがついてしまうよと、いつもいっているのと同じ所。

「オレがっ、」

胸が詰まりそうな声。
それを続けようとはせずすこし声を抑えたのは私が先ほど驚いてしまったからだろう。

「オレが悪いんだ。 あんなやつらに、あいつらに嫉妬して…本当に男だったらマスターもオレを意識してくれるかって…、父上よりも特別になれるかって思って…」

切実な心中の吐露。
泣きそうな顔、潤んだ瞳。
大きくなったのにそのままだ。

「マスター…」

女の子らしいいじらしくてやきもちやきなのは変わらないんだ。つい笑ってしまった。

「なあ頼むから、マスター、オレのこと…嫌いにならないでくれ…」

すがるにすがれない。
私に気を使って抱きついてこない。

その癖今にも崩れ落ちそうな拾ってほしそうな子犬の、モードレッドの、浮いた手をとり抱き締めてあげれば大人しく黙りこんで引っ付いたままになってしまった。泣いてるのかな?大きくなったのに?男の子になったのに?


まったく、そんなことあるわけないのについ可愛いくってかっこよくて言いそびれてしまった。

「大丈夫、好きだよ。」

何にも言葉は返されなかったけど、男の子だからか筋力が上がってる気がした。


20180422
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