ホストの花摘み | ナノ



恋愛というものは本当に面倒くさいもので、それまで何の感情も抱くことのなかった脳がいきなり恋というものから様々な連鎖反応を起こす。
特に厄介なのは嫉妬というもので、知らない感情にその名前を付けた時は自分でもかなり驚いた。結局それを飲み込むことにかなりの時間がかかってしまったものの今では明確な感情として胸をぎゅうぎゅう締め付けてくる。
女子というものは本当に厄介だと言う(後輩のピスティがそう言っていたが、正直そんなに大変そうに話してくれなかったからかあまり実感がなかった)、例えば定期的にやってくる腹部への激痛はたまらなく辛いとか、結婚をして子供を出産するときの体が裂けそうな痛みだとか。何をとっても苦しく痛みを伴うのは女性ばかりだとどつかれたものの、自分は女性ではないからまったくわからない。
「ジャーファルさんが味わうときっと死んじゃいますって!」
「味わうことがないからわからないんだよね、ピスティもそういう話を私にするってどうなの?」
「ジャーファルさんは男の人とかっていうのを越えちゃって私たちにとってはお母さんみたいな人だからつい〜」
「嬉しくないんだけど・・・」
「それでそれでジャーファルさん?オウサマがまた高いもの買ってきたって本当〜?」
「なんでそこ知ってるの?私が話したのはシンがまたお客さんと歩いているのを見ちゃってちょっと妬いちゃったって話なんだけど」
「だあってマスルールくんが言ってたんですよ〜、一昨日ジャーファルさんのおうちに行ったら高そうな壁掛け時計が掛かってたって!」
本当のところどうなんですか〜と言われて何も言えなくなりため息を吐いた。真昼間から大学の昼食時間にする話じゃなかったとつぶやけばじゃあいつ話すんですか〜と呑気に返される。
ジャーファルの通う此処シンドリア大学は、商業科と文学科の混合という有名な学校である。商業科に通うジャーファルの後輩にいるのがピスティであり、今のように休みの時間が同じ時はピスティがわざわざジャーファルに会いに来ては恋愛関係の話をする。
「そうなんだよね・・・驚いたよ、帰ってくるなり時計!とか言って渡してくるんだから」
「オウサマらしいよね〜、でもそれでどうしてジャーファルさんは浮かない顔しているのかな?」
「・・・だって売上で買ったものじゃないか」
「うん?きっとそうだよね」
「・・・なんか 嫌」
「えっ・・・ジャーファルさん・・・それはちょっとオウサマ可哀想じゃ」
「だって仕方ないと思いませんか?他の女性を誑かして稼いだお金で購入したものを堂々私のもとへ渡すなんて」
「ジャーファルさん本当はそう思ってないでしょ、唇が震えてる」

大学生という役職のジャーファルは「オウサマ」と呼ばれている大学のOBであるシンドバッドのもとで暮らしている。かれこれジャーファルが高校に入学した頃からジャーファルの面倒を見ているシンドバッドの職業はいわゆる「ホスト」というものであった。昼間は無地の黒いスーツに胸元を少しだけ開けた真っ白Yシャツを着こなし自らが経営している会社の社長として働いている彼は、ネオンが夜空に輝き始めることになれば一気に煌びやかな世界へと瞬いてゆく。
ただ黒かっただけのスーツは星が散りばめられたような小さなラメを纏い、清潔なイメージの白さは一切無くなり妖艶な紫を中に着飾る。女みたいですよとぼやいたポニーテールは肩あたりから縛られ、シンドバッドはオウサマへと変貌する。
そんなシンドバッドと比べジャーファルの外貌は然程の物ではなかった。強いていえば周りにはあまり多くない銀の髪の毛が注目を浴びる程度で、鼻辺りの雀斑も冴えない顔立ちも、ジャーファルにはコンプレックスにしかならなかった、こともあった。今となってはそれらが小さなことだったと思うようになり、シンドバッドの横を歩いても何も感じなくなった。一種のあきらめである。

「だってさ、オウサマはきっとジャーファルさんと安定した暮らしを続けるためにきっとホストなんてやってるんでしょ?それならジャーファルさんが認めてあげないとかわいそうだよ!」
「わかってます・・・でも昔は、シンが帰ってくるときはすぐ分かってました、シンの香りがしていたから」
帰宅したとわかるものの、毎日纏う香りが違う今に最早ジャーファルの知っている彼はいなかった。
ホストをやることになった。それだけ淡々と述べたシンに向かってジャーファルはうまく笑えていたのか今でもわからない。それでも彼が選んだ道を認めない、そんな選択肢はジャーファルに一切無くそうですか、と一言だけ残して終わったその会話をジャーファルは時々後悔する。あの時もし嫌だと言っていたのなら彼は今頃何をしているのだろう。昼間の顔だけを持っているのだろうか。
「でも王様のあれは最早性格の一部みたいなものになっちゃってるしジャーファルさんに疑われちゃってみ仕方ないのかもね〜・・・」
「ピスティ、あれって?」
「香水が毎回違うって話です!ホストだからきっと相手の女の人の香りが付いちゃってるのかもしれないけど、逆にその日来るお客さんの好みに合わせて王様が合わせてるのかも」
「・・・そうかも、シンの部屋にはいると数えきれない種類の香水が置いてあったし」
「うーん・・・大変だね、王様もジャーファルさんも・・・でもほら、王様が本当に好きなのはジャーファルさんしかいないから大丈夫ですって!」
「その強い確信はどこから来てるの?」
「えっだって見てたらわかりますよ、王様ジャーファルさんと話すときはすっごい緊張してるじゃないですか」

そんなのあるわけないし知らないよと言えば、本当に驚いたらしい声が響いた。ああ、ピスティの声ってすごく高い。彼女はとても特徴的な声をしていて、男もそれに魅せられる時が多いようだ。彼女の衝撃といった声が頭の中でエコーしてぐわんぐわんする。
今まで自分の性別に嫌悪を抱いたことなど一切なかったのだが。最近稀に女性をうらやましく感じる時がある。ピスティや別科のヤムライハに言えば先ほどの女なんて痛いことばかりで良いことないです発言が返されるためあまり発言はしないが、ほんのすこしそんな彼女たちが輝いて見えるのだ。たとえば自分にふくよかでなくとも柔らかい胸があったとして。もう少し顔立ちも丸く、骨格がしなやかなラインだったのならば・・・とそこまで考えて止めた。結局自分は女で生まれたとしても今と変わらず彼に本当の気持ちを告げることなどないのだろう。そう思えばなんだかそれまでの思考が全く意味のなかった物に思えてきてしまい虚しくなる。ふとカバンの中が震えていることに気づき、ちょっとごめんとピスティに謝罪をして画面を見れば先ほどまで話題の中心部にいた人物の名前が無機質なドットで記載されていた。

「お仕事中に何電話してきているんですか」
『休憩中だよジャーファル。今日は帰り早いのか?』
シンはいつも電話の内容でジャーファルの大体の帰宅時間を尋ねるが、ジャーファルにはその真意が見えずいつも狼狽える。夜の仕事をしているシンドバッドはジャーファルが大学の講義や研究を終え帰宅する頃にはいつも家を出てしまっているため、ジャーファルと顔を合わせるのはたまにある休みか朝早く一般の仕事に向かうときがまともなものであった。それなのにジャーファルの帰りを気にする様はまるで自分の恋人を縛り付けているようだと、ヤムライハの同学年であるシャルルカンが言っていた。
(恋人じゃなくて子供の間違いだろうと思う私は間違っているんだろうか?)
「今日はバイトも休みだしきっと7時には帰ってます。夜食は・・・いりませんよね」
『7時か、わかったよジャーファル。そうだなぁ、久しぶりに一緒に食べたいが今日は店が忙しいようだし帰りも遅いと思うから先に寝ていて構わないよ』
「わかりました、無理なさらないでください」
『ありがとうジャーファル』

愛してるよ、電子音が鳴る直前に紡がれた告白に泣きそうになる自分は酷く醜い。携帯を強く握ったその指が痛くていたくて。ふと横から伸びてきた小さく白い手のひらがピスティだと気づいて、彼女の優しさがまたひどく辛かった。
「ジャーファルさん、今日はお仕事ないんですね!だったら一緒に遊びましょうよ!」
「ええ・・・?遊ぶって・・・どっか行くの?」
「はい!メンツはまかせてください!可愛い子ばかりアテがあるんで大丈夫!きっとジャーファルさんの気にいる子がいますって!」
「め、面子?ちょっと待ってピスティ何・・・」
「別に付き合う子を探すんじゃないですからそんな青ざめた顔しないでいいんですよ〜、ジャーファルさんいっつも課題とかバイトとかであまり遊べないから、たまには私に時間ください!ねっいいでしょ?」
きらきらした瞳に何も言い返せなくなったのと、彼女なりの慰め方なのだと感じたジャーファルは渋々首を縦に頷かせた。結局シンドバッドに言っていた帰宅時間は2時間も過ぎ、めったに飲まない酒を周りにいたピスティの友人(ジャーファルとシャルルカン以外は全員女性だったことに若干凍りついたのだが)に勧められてしまい、足取りが少しだけ危なかった。それでも気分は普段よりすこぶる良く、初対面の彼女たちだからこそ話せた愚痴にスッキリしたのだと思う。過去も何も知らない他人のアドバイスというものは意外と納得のいくもので、たとえ職でも嫌だよね〜とか。他愛のない話がなんだか楽しかったのだが、アパートに到着したときにその幸福感が一気に青ざめた。

(なんで?どうして・・・)

電灯が点いているのだ。若干ずれた焦点で腕時計を見れば時計の短針は9時をまわっていた。しかしこの時間に電気が点いているというのは基本的にジャーファルが居間でシンドバッドの夜食の準備をしているか、翌日の朝スムーズに行動できるように最低限できることを粉しているためかのどちらかである。しかし本人は今その状況を見て固まっている。どうして電気がついているのか、そんな事考えずとも酔っている脳でもわかる。もう一人が帰っているからに決まっているのだ。
おそるおそる鍵を指してみたもののそこからガチャと回る勇気が出ない。決して自分は今まで疚しい事をして来たわけではないのだが真面目なジャーファルにとって告げていた時間を大幅に超えていたことはよくよく大問題のようで、そもそも彼がこんな時間に帰ってくることが悪いと理不尽な考えに至ってしまった。さてどうしようかと差したままの鍵が触ってもいないのに勝手にぐるりと回転してさらにぎょっとしたが驚きを顔に出す暇もなく内側から伸びた長い腕に体を引きずり込まれる。かと思えば勢い良く扉を締められ、両脇につかれた手で逃げ場を封鎖されてしまい、いよいよ彼が御法度なのでということを強く認知し始めた。いったい自分が何をしたというのだ。

「シ・・・シン?今日早いですよね、いつもなら時計が12時を回ってやっと電話を下さるのに」
「ジャーファル」
「ごめんなさい、ま・・・まさかこんな早く帰ると思っていなかったので夜食が」
ジャーファル、二度目に呼ばれた声は酷く冷めていて自然と唇が震える。怒っている。おそるおそる顔を上げればその金色の瞳には怯えきった顔の自分が映っていて滑稽だった。
「正直に答えなさい、今までどこにいた」
「あ・・・の・・・ピ、ピスティと・・・」
「どこに?」
「大学の・・・近くにある居酒屋・・・に」
「ほう、居酒屋。こんな時間までピスティと二人で飲んでいたのか」
「そ、そうなんです・・・話が弾んでしまって」
「ジャーファル。もう一度言う、正直に答えろ。俺の目を見てちゃんとだ」

誰といた?先ほどと少し変わった質問の仕方に冷や汗が止まらずジャーファルは地に脚が着いていないかの様な感覚に囚われていた。素直に大勢いた事を言ったものの彼の声はいつもの優しさや甘さを一切含まず、質疑をそのまま玄関で続けさせられる。たまに香る香水の匂いがやっぱり辛くて、どうして自分ばかりこんなに辛い思いをしているのかと弱気になりそうだ。
「珍しいな、俺に言ってきた時間は破った事がないはずのお前がこんな夜も更けた頃に帰ってくるなんて。今日は俺の常連のお嬢さんがこなかったから早めに上がらせてもらったんだが」
「そうなんですか・・・」
「きっとお気に入りの女性がいたんだろう?よかったな」
「・・・シン?」
「お前はお嬢さん達に対する意識が強いからなぁ、いい機会だっただろう」
「シン、何言ってるんです」
「お前を待っててちょっと疲れたな、休んでからでいいから夜食を頼む」
そう言って玄関を離れていこうとするシンの首筋に赤い痕があることに気づいて、あぁなんて自分は浅はかなんだろうと今まで抑えていたものが決壊した。孤児院に居た自分を引き取ってくれた彼は最初から自分の事を子供にしか思っていなくて、彼は誰にでも優しい人だからそれに自分が甘えきっていたのだと、なんて馬鹿なんだろうと、こぼれる雫が涙だと気づいたときには遅かった。
「や、夜食いま作りますね」
「別に休んでからでい・・・・・ジャーファル!?」
「いえ、今作ります、簡単なもので、いいで、すか、あれ、ごめんなさ、ごめんなさい」
「ジャーファル、・・・ああもう、悪かった。悪かったから頼む、泣かないでくれ」
お前に泣かれると辛いんだ、そう言うシンの声はいつものシンで少し救われる気がした。次の時にはジャーファルの身体はシンドバッドにきつく抱きしめられていて、今度こそジャーファルは混乱した。
「シン、」
「悪かった。ただの嫉妬だ・・・泣くなジャーファル」
「しっと、」
「お前いつも帰るとメールだの電話だのいれてくるだろう?今日は7時を過ぎても連絡がないどころか着信には出ないしメールには返事ないしで焦ったぞ・・・」
「あ・・・ごめんなさ、携帯、電源切れて」
「・・・なぁジャーファル、これを機会に少し話を聞いてくれ」
「・・・はい・・・はい、シン」
「俺は確かにそういう職業だし、決して周りに誇れるものではないかもしれない。それでもその前に一人の人間なんだよジャーファル。俺だって心の奥底から愛したい存在が一人いるんだ。でも簡単にはできないから、勝手に縛り付けてしまう」

背中を撫でながら少し申し訳なさそうにそう語るシンドバッドの顔が見たくて首をあげれば、「王様」のシンドバッドはどこにも見当たらずそこにいるのは昔からジャーファルが好きだったシンだけだった。
こうして彼は期待をもたせる。咲くはずのない花に水や肥料を与えに与え、決して実ったそれを摘まず風になびかせるだけ。そんなことをするくらいならいっそ最初から愛でなければいいのにと何度思ったことか。それが出来なかったのはほかでもない自分だった。
「ジャーファル、愛してるよ。俺のことをだらしがないとか、世話が焼けるとか。そう言って怒鳴ってくれるお前が好きだ」
「・・・・言う相手、まちがってます・・・」
「悪いけどもう誤魔化せないぞ?俺もここまで態度に出してしまったんだ」
「だって馬鹿か、アンタ、わた、わたしはおとこだし、むねだってないし、やわらかくないし、甘い香りなんてしないし、あんたのこどもだって、うめない」
「胸なんて無くて当たり前だろう、お前は男なんだからな。甘い香りがせずともお前の香りがするさ、いつも無臭と言われてるが俺には案外分かるんだ、お前の香りが。子供は可愛いな、でもお前はきっと子供を愛でに愛でて俺を構わなくなるだろうから今はいいな」
「くさい、香水嫌いです・・・」
「・・・それはすまん」
「高いプレゼントなんていりません」
「それでもお前は受け取るんだろう、俺のあげたものを大事に残して」
「もうすこし早起きしてください」
「善処する」
「・・・仕事と割り切ってください、わたしも、わりきります」
「・・・うーん、いつも割り切っているつもりなんだが・・・見えないのか」

だって、と赤い痕を指さしては見たもののシンから見える部位に其れが見当たらないため言葉で簡略的に説明すれば5秒ほどきょとんとされて間もなく上から大きな笑い声が降り注ぎ落ち着いてきていたはずの心にピシリとヒビが入る。
「シン、笑い事じゃ」
「昼頃からかな、すごくむずむずして」
「・・・は?」
「痒いなーって思ったわけですよ、これで解決したかな?ジャーファル」
しまった、と思った時にはもう遅く目を凝らして再びその痕を視界に入れると中心がぷつりと丸く膨らんでいることに気づき今度こそ体をうずめてそのまま地に這い蹲りたいと思った。早とちりも甚だしいことは当然だが、なにより勝手に勘違いをして彼を責めてしまった。
ごめんなさい、と心の奥底から謝罪をすれば乾いてしまった涙の跡をなぞるようにシンの細長い指が頬を滑る。
「お前は悪くないだろう、俺のほうが勝手だったんだ」
「なにを馬鹿なこと・・・」
「こんなはずじゃなかったんだよなぁ、お前を引き取った頃はとにかくお前の笑った顔や怒った顔が見たくて、何気ない事を幸せだと思えるようになってくれたなら良いと思っていたんだ」

それがいつのまにか自分にその幸福を捧げて欲しいと思うようになってしまった。
親という存在のまま愛し続けようと決めていたその心がキシリと音を立ててゆがんでいく様は一度始まれば止まることを知らず拍車をかけて加速してゆく。そうして露になるのは愚かな感情を剥き出しにしてしまった欲の塊で出来た人間だった。
「ジャーファル、俺はきっとこれからもお前を離せないよ。たとえお前が離れたいと願っても、下手すればお前を閉じ込めようとするかもしれない。最悪だろう?」
「・・・でも、それでも私の帰る場所はもとより此処しかないんですシン、貴方のいる場所がいつでも私の呼吸をする場所なんです」

香水の香りがひどく嫌いだった。
街中で知らない女性と歩く姿を見かけるたびに自分の叫びを上げそうな喉を潰してしまおうかと何度も思った。それでもそんな思考は脳内でとどまり、惚れてしまったもの負けとでも言うのだろうか、もしいつか彼が誰にも縋ることができなくなってしまった時の一種の「ストック」としてでも使える存在であるのなら良いと縋り付いて生きてきた。
女性は苦しいことばかりだとピスティはよく言うがそれでも彼女を幸せの対象に見ていた。交遊関係の絶えない彼女はよく周りを巻きもんで様々な事を起こすが、それでも好かれる存在であるのは彼女特有の優しさや声なのだろう。
(満たされていく感覚が幸福だと知っていた、それを今もっと感じることができる)
ああいっそ自分も彼女と同じ生物になれたのならと唇を噛んだ。その壊れそうだった心が、涸れそうになっていた花びらが蘇ってゆく。降り注ぐ水があまりに綺麗で自分はそのうち与えられすぎて実をなすこともせず散っていってしまうのではないかと思っていた花が、彼女たちにしか咲かないと思っていた花弁が風になびいた。
今その花をあたりに咲いている綺麗なそれらを見ようとせず質素な自分の花を摘んでいこうとする光が一つ筋をなして柔らかな幸福の先を描いた。
溢れるばかりの水を今度は彼に咲く大きな花に返せるのならそれこそが恋だと、彼に向かって叫んでやろう。





▼11/14誤字訂正、スペックってなんぞや それ定義や
▼1/5誤字訂正、×血に這い蹲る→◎地に這い蹲る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -