▼ 緑の日?
※I夢本編終了後の設定
「今日はみどりの日だ」
「うん」
「つまり、オレの日ってことだよな」
ドドンという効果音がよく当てはまる男、スパーダ・ベルフォルマ。彼は親指を胸につけてなにかをアピールしている。
何が言いたいのかさっぱりわからないというように、リズ・リーネルはオレンジがかったピンク色の目を瞬かせた。
「なんで?」
「だって緑の日だろ。オレの髪、そしてイメージカラーは緑だ」
「えっと、そういう色的な『みどり』じゃなくて、自然って意味だったはずじゃ……」
「細けぇことはいいんだよ。つーわけでだ」
頬に指を当てて考えるリズをスパーダは軽くあしらう。そしてニヤリと悪戯を思い付いた子どものような笑みをみせた。
それを見たリズは、スパーダが何か良からぬことを企んでいることに気づく。
「んな身構えんなって! 今日一日オレに奉仕してくりゃいいからよォ」
ヒャハハと楽しそうに笑うスパーダに、やっぱりかというようにリズは小さなため息を吐いた。
「やっぱり恥ずかしい」
「いいじゃん。眼福眼福!」
満面の笑みを浮かべるスパーダに対し、リズはなにやら不満気だ。
現在彼女は黒を基調としたメイド服を着ている。白のエプロンにはフリルがあしらわれ、頭にはメイドの象徴ともいえるホワイトブリムをつけている。
本来のメイドと異なるのは、スカートの丈の長さ。ベルフォルマ邸のメイド服は膝下だが、リズの着ているものは膝が全く隠れていない。
「短い……明らかに仕事に向いてないよ」
無理だとわかっていてもスカートの長さを伸ばしたいという表れからか、裾をひっぱってみるリズ・リーネル。
そんな彼女とは裏腹に、不良貴族はとてもご機嫌な様子だ。
「今日一日その格好な」
一日署長ならぬ一日主人の発言にリズは二度目のため息を吐く。
言葉通り、身の回りの世話からひざまくらまで、一日中お坊ちゃまに振り回された気苦労少女なのでした。
2013.05.04
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