アクマイザー

アクアマリン
4…同列1位


「なあ、カーサはカノンとサガにはよく化けているよな」
海将軍の集う休憩室で、イオがリュムナデスへ話を振った。
良くある世間話ともつかぬ交流のひとときだ。リュムナデスが頷いて肯定する。
「双子で片方は二重人格。化けるのも心を視るのも良い鍛錬になるのだ」
「ああ、それでかー。黄金聖闘士ならアクエリアスもたびたび来るのに、そっち相手にはあまり化けてないなーと思って」
たいした疑問でもなかったが、謎がとけてすっきりした顔のイオに対し、カーサが言いにくそうに語尾を濁す。
「いや…あちらはあちらで良い鍛錬になりそうなのだが…」
「なに?アクエリアスには遠慮しているのか?」
「アクエリアスにというより、アイザックにというか」
同僚の名を出され、イオは首を捻る。
「そりゃ、自分の師匠相手に何かされたら怒るかもしれないけど、許可を貰って化けるだけなら特に問題ないのでは?」
「それが問題なのだ」
「なんで」
なおも不思議そうに尋ねるイオに、カーサは肩をすくめた。
「アクエリアスには弟子が二人居る」
「ああ、知ってるぞ。アイザックの弟弟子が白鳥座の聖闘士なんだろう?」
「そして俺が映すのは最愛の人間の姿だ」
しばし微妙な空気が流れたあと、またしても腑に落ちた顔で、イオがぽんと手を叩く。
「あー…どっちの姿になっても、アイザックの立場だと微妙なのか」
「実は心だけなら覗かせて貰った事がある。アイザックとキグナス以外の姿をとれば無難なのではないかとな。しかし、その二人と並んで浮かんだ、彼の同僚らしき金髪の黄金聖闘士も…こう…これがアクエリアス最愛の姿だとアイザックに見せるのはどうも…」
「確かに最愛の人間が同列で何人も居ると、意外と気を遣うかも」
「だろう?」
戦闘相手に対しては無敵に近いリュムナデスの能力も、同僚に対しては気苦労のほうが大きくなる事が多々あるのであった。

(2010/5/5)


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