「じゃあ私は床で寝る」
「は!?いや待て!今夜冷えるし、どうせだったら一緒に寝ようぜ!」

就寝の時間。部屋で立ち尽くすヴィダの手を引いて、俺は彼女をベッドに座らせた。
「終電逃したから今晩泊めてくれ」と言って突然やってきた俺の愛しい彼女。その突然の訪問に、俺は喜びを隠す方法が分からず、色々と自制心が崩壊しつつある。

「…て」
「て?」
「……手を出したらコロスからな」

じとっと見てくるヴィダの視線に、俺は全力で首を横に振りながら「出さねェよ!?」と否定をするが、内心では釘を打たれたと、悔やんでる俺がいた。

「…ならいい」

そう言って言葉に甘えるようにヴィダは俺のベッドの中に潜り込んだ。俺もそれに続くようにして入り、「おやすみ」と言い、ヴィダの頬に軽いキスをした。
先程も言ったように今夜は冷える。俺はこちらに背中を向けるヴィダの身体に腕を回し、ぎゅっと温めるように抱きしめた。
すぐ隣から香ってくるヴィダの心地良い香りが俺の鼻をくすぐり、思わず呼吸をする毎にそれを堪能してしまう。

あ"ー…すっげェーいい匂い…俺ヴィダの匂い超好きなんだよな…ずっと嗅いでても飽きねェ自信ある…
肌の触り心地もやべェし、ほんと癖になる…マジで止まらな…

「おい…おい…ッ!……ッ!エースッ!!」

ヴィダの困惑しつつも少し怒っているような声音を聞いて俺はハッと意識を現実に戻す。
自身の今の行動を見直せば、俺はヴィダの首筋に噛み付くが如く顔を寄せ、さらにシャツの中に手を滑り込ませてその柔肌を撫で回していた。足は身動き取れないように自身のと絡め、拘束している。

「………。」
「…あ…いや……その…」

まさか無意識のうちにこんなことをしていたとは。

瞬時にヴィダから離れ、弁解の意を表そうとするが、こちらを振り向きながら見るヴィダの目線は鋭く、明らかに不機嫌なことが分かる。

「…床で寝る」
「ちょ!ちょまっ!わわ、悪かった!すまん!もうしないから!な!?な!?」

愛想尽きたような息を吐きながらベッドから出ようとするヴィダを俺は必死で宥め、食い止めた。
もうしない!と何度も何度も謝れば、ヴィダは許してくれたのか、今度は互いが向かい合わせになる状態でベッドの中に入ってきた。
俺はほっと胸をなでおろし、腕枕をすれば、ヴィダはそれに寄りかかってきた。
その顔に先ほどの不機嫌さはない。

「悪かった…。ヴィダ、おやすみ」
「…ん」

ヴィダの短い返事に安心し、俺は1度天井を見上げてから目を瞑る。俺は目を瞑るとすぐに寝入る体質なのだが、ヴィダの呼ぶ声が聞こえ、俺の意識はそっちにいった。

「なんだ?もう何もし…」

何もしないから安心しろ、と言おうとしたが、それは柔らかな唇によって阻止された。可愛らしいリップ音が鳴り、そしてそれはすぐ離れた。

「ありがとう…おやすみ」

整った顔で愛らしく微笑んでから、ヴィダは俺にすり寄り、目を瞑った。 その顔は随分安心しきった顔をしている。きっとよく眠れるだろう。
だが俺は今ので完全に目が覚めてしまったと同時に、溢れ出る愛しさを止めることができなかった。

「〜〜〜〜ッ!ヴィダ!!」
「…?なん…うわっ!」
「すっげェ好き!!」

ツンデレなところも含めて全部好きだからな!!

欲望のままに覆い被されば、強烈なアッパーをプレゼントされた。

ーーーーーーーー
床で寝る、を言わせたくてできた話。
大型犬とクールな猫がじゃれ合う感じです。イメージ。
これのヒロインで長編書きたくてしゃあない。

main1

〜コメント〜
※なお、管理人限定表示でコメントされた方は、プライバシーを考慮した上で、コメント返信は行っていません。ご了承ください。

コメント
名前:

コメント:

編集・削除用パス:

管理人だけに表示する


表示された数字:



TOP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -