夜の赤信号というのは、実に良いものであると俺は思う。特に昼間と比べて人がいない交差点などは、尚更素晴らしいものである。その中でじっくり赤信号を待つのは嫌いじゃない。まあそれも愛しい彼女が隣にいる場合だけだが。

「…………。」
「…どうした、エース」

先ほどまで俺が一方的に喋っていたからか、突如なにも喋らなくなった俺に違和感を感じたらしい。クールであまり話さないヴィダが俺を見てなにかを心配している。嬉しい。いやそうじゃなくて。

「…なあヴィダ…」

チラリと見てやればヴィダと目があった。ヴィダは察したのか、ため息を少し吐き、もともと近かった俺との距離をもっと縮めた。俺は柄にもなく嬉しくなり、ヴィダの頬を両手で包み、そのまま口づけをしようとした。

「…ん?」
「青だ」
「…え?」

後少しのところでヴィダが俺の唇を人差し指で止めた。呆気に取られた俺をよそにヴィダは俺から離れ、青になった横断歩道をスタスタと歩いていく。

「ちょっ…おい!」

腑に落ちない俺はその場でヴィダを呼び止めた。反対側の歩道に着いたところでヴィダはこちらを振り返った。

「青になったんだ。普通は渡る」
「そりゃそうだけどよ…」
「なら早く来い」

項垂れる俺を見てヴィダは微笑みながら自分の唇に人差し指を当てた。

「…待ちくたびれる」

年の割に色気のあるその姿に、俺の心臓の鼓動が早くなった。俺は真っ赤になりながら、全速力でヴィダの元に向かい、その体を抱きしめた。

やはり俺は赤信号は嫌いじゃない。

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赤信号になるとキスがしたくなっちゃうエースです。初めてエース夢書いた。エースはクールなヒロインがいいなってずっと思ってたんですよグヘヘ。ちなみに元ネタはファンキーモンキーベイビーズのOh my ladyです。
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