窓から朝日が差し込むのを合図に、寝起きの体をぐっと伸ばす。
横を向いたら見える寝顔ったら、もう可愛くて仕方がない。
「わんっ!」
「ん…」
朝だぞ俺のご主人様。
早く起きて一緒に散歩行こうぜ。
「えーす…吠えるな…」
とろんとした目で俺を見てくる。
相変わらず俺のヴィダは可愛いな!いっぱい舐めてやる!
「…分かった分かった。起きるから。くすぐったいよ」
「わん!」
「ふふ…おはようエース。散歩に行こう」
ヴィダが起きた!これで散歩にいける!!
俺はヴィダとの散歩が大好きなんだ。外は楽しいし、なによりヴィダとでーとできるのが嬉しい。
人間って好きな奴と出かける時そう言うんだろ?
「服は…これでいいか」
「わぅ…!」
俺知ってんだぞ!ヴィダが薄着でいると変な奴がよってくんだ!だからぜってェ駄目だ!こっちの長袖を着ろ!
「でもこれは流石に暑すぎる」
ぐぬぅ…でもよ…。
「へぇ。私が襲われても誰も助けてくれないわけか」
「わんッ!」
俺が助ける!!ヴィダは俺が守るんだからな!!
「ふふ、ありがとう」
「くぅん」
あー言いくるめられた。ちくしょう。
でも抱きしめてもらったからいいや。あったけェなあ。へへへへ。
***
「ほら。行ってこい」
リードを外された瞬間に俺は広場を走り回る。やっぱ外は気持ちいいな。
朝だし、そんな人もいな…
「あのっ…」
「?」
と思った矢先か。
「よくここに来られま、わっ!?」
「グルルル…」
おい誰だテメェ。ヴィダに何の用だ。
こそこそ近づこうとしやがって。俺は耳もよければ足もはえーからな。すぐに飛んでくんぜ。
「バウッ!」
「ひっ、」
「こらエース、やめろ」
ヴィダが俺を両腕で抑えつける。
だってこいつ今、ヴィダに色目使ったぞ!
「お前はもう少し協調性を……すみません、いきなり…」
「…あ、いえ!俺の方こそすみません…あの、それで、その、お名前をお聞きしたくて…」
「ガウッ!!!」
「ひっ!?」
「エース!」
なにが名前だおい!!
見るな!話すな!!近寄んな!!!
「や、やっぱなんでもないです!すみません!」
…よし、行ったな。なかなか足早いな、あの野郎。
でもヴィダは渡さねェ。
「お前なあ…」
ヴィダ以外にいらねーもん!俺はヴィダがいればいいの!そんな顔したってこれは譲れねェ!俺がヴィダのこと1番好きなんだ!
「…まあでも、嬉しいって思っちゃいけないんだろうな。私もお前が大好きだよ」
「くぅん」
撫でられる手がこんなに愛しいって思うのはお前以外いねェよ。
ずっと側にいてくれ。
大好きだ。
***
「って感じの夢見た」
「へぇ」
「犬の俺にはすげェ素直だったぞ!もっと構えよっ!わん!」
「…どっちでも変わらないよ、お前は…」
ぎゅうっと抱きついてくる大きな犬の頭を撫でた。
ーーーーーーーーー
わんわんエース。これの犬エースと飼い主ヒロインの馴れ初めを書きたい。
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